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『相対性』(1953年)
ありえない世界がひろがっています。異空間の旅がたのしめます。
「生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクル エッシャー」展が上野の森美術館で開催されています(注)。マウリッツ=コルネリス=エッシャ-(1898-1972)は、「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」でよく知られる 20 世紀を代表する奇想の版画家です。本展では、世界最大級のエッシャーコレクションをほこるイスラエル博物館からえりすぐりの約 150 点を日本初公開しています。

展示コーナーはつぎの8つです。
  1. 「科学」
  2. 「聖書」
  3. 「風景」
  4. 「人物」
  5. 「広告」
  6. 「技法」
  7. 「反射」
  8. 「錯視」

何といっても見どころは 8.「錯視」です。

たとえば『相対性』(1953年)(写真)では、3方向に重力がはたらいたことなる3つの世界がくみあわさっています。ある人にとっては階段はのぼるものですが、別の世界の人にとってはその階段はくだるものです。ここは常識ではありえない世界です。3つの世界はくみあわさっていますが、それぞれの世界は完全に独立していて、そこでくらしている人々はほかの世界にかかわることはありません。そもそも、ほかの世界はみえていないようです。それぞれの人々は何の違和感もなく疑問をもつこともなくくらしています。ことなる世界が並存するパラレルワールドがひろがっています。

もしかしたら宇宙は本当はパラレルワールドになっているのかも?

館内は、写真撮影はできないのでこれ以上の作品紹介はできませんが、これ以外にも、多次元、無限、永遠、循環などの世界がみごとに表現されています。おどろくべき想像力です。

常識から完全にときはなされた異空間がひろがります。いっとき日常からはなれて心を解放してみるのもいいです。固定観念の “土俵” からぬけだせるかもしれません。


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▼ 注
生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクル エッシャー展
特設サイト
会場:上野の森美術館
会期:2018年6月6日〜 7月29日