音楽録音・再生メディアの歴史をたどりました。技術が進歩するときには、あるときに大きな革新がおこり、その後しばらくのあいだはゆるやかな進歩がつづき、また革新がおこります。階段状の進歩の仕方をします。
OTOTEN(AUDIO・VISUAL FESTIVAL 2018)主催の「音のサロン」:「音楽再生メディアの歴史 〜音源で辿るハード・ソフトの変遷〜」(講師:麻倉怜士氏)に参加しました。

音楽録音・再生メディアの歴史をたどりながら、それぞれの歴史的音源を実際にきくという滅多にない貴重なイベントでした。


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(平行法で立体視ができます)

 

1.オルゴール
オルゴールはもっともふるい音楽再生メディアです。河口湖オルゴールの森美術館にいくとオルゴールがかなでるさまざまな音楽をたのしむことができます。

2.円筒式蓄音機
1877年、エジソンは、音楽を録音・再生する装置を発明しました。

3.ベルリーナの円盤式蓄音機
1887年、アメリカのエミール=ベルリーナが、平円盤式蓄音機「グラモフォン」を発明しました。

4.SP 蓄音機
1909年、英国グラムフォン社が、「Standard Playing」(SP/78回転、再生時間は4分半)で規格統一しました。

5.ラジオ
1920年、ラジオ放送局、ピッツバーグの KDKA 局が開局しました。日本では 1925年に、ラジオ実験放送がはじまりました。

6.電気式蓄音機
1925年、ウエスタン・エレクトリック社が電気録音方式を開発しました。1937年、日本ビクターが、純国産電蓄1号機「RE-48」(480 円)を発売しました(当時の大卒初任給は約 100 円)。

7.モノラル LP
1948年、モノラル LP が、米国 CBS コロンビアから発売されました。

8.ステレオ
1950年、ステレオレコード規格が 45/45 方式に決定されました。1958年、日本ビクターが、わが国初のステレオセット「STL-1S」を発売しました。

9.FM 放送
従来のラジオ放送よりもはるかに高音質になりました。

10.オープンリール
FM 放送などの録音(エアチェック)が一般家庭でもできるようになりました。

11.カセットテープ
エアチェックが誰でも手軽にできるようになりました。

12. モジュラーステレオ
卓上型ステレオが発売され、1960 年代に普及しました。ステレオレコードを一般家庭でも手軽にたのしめるようになりました。アンプとプレーヤーがひとつにまとまり、左右のスピーカーと計三点式の装置でした。現在のミニコンポの前身になりました。

13.CD
1979年、フィリップス社が CD 方式を発表しました。1982年、ソニーが、世界初の CD プレーヤーとソフト(15 タイトル)を発売しました。同年、国内9社が、単体 CD プレーヤーを一斉に発売しました。

13. MD
1993年、ソニーが、MDS-101 を発売しました。

14. SACD、DVD-AUDIO
1999年、ソニーが、SA-CD プレーヤーを発売しました。人間の耳にはきこえませんが身体では感じることができる超音波をも収録し、高音質化を実現しました。

15. UHQCD、ガラス CD
従来よりも高音質な CD が発売されました。

16. ハイレゾ配信
2011年から、ハイレゾ配信(CD よりもはるかに高音質)がはじまりました。音楽配信、音楽ダウンロード、ストリーミングなど、インターネットとデバイスをつかって音楽をたのしむ時代になりました。




以上のように、約 140 年にわたって音楽録音・再生メディア(オーディオ)は進歩してきました。エジソンの最初の発明、ステレオレコード、CD、ハイレゾ配信などはとくに重要な技術革新(オーディオ史における革命)でした。これらの大きな技術革新を境にしてオーディオの歴史を時代区分するとつぎのようになります。

  • 初期段階(エジソンの発明〜SP)
  • ステレオの時代
  • CD の時代
  • インターネットの時代(ハイレゾ配信やストリーミング)

ステレオレコードの発明は非常に大きな技術革新でした。しかし CD はさらに大きな技術革新でした。それはデジタルというまったくあたらしい技術をつかっていたのですから。そして現在は、インターネットの時代にはいっています。ディスクの時代はもうおわりました。かつてないほど手軽に音楽や映像を誰もがたのしめるようになりました。

このように技術の進歩は、あるときに大きな革新がおこり、その後しばらくのあいだはゆるやかな進歩がつづき、また革新がおこり、その後しばらくのあいだはゆるやかな進歩がつづき、また革新がくるといった階段状の進歩の仕方をします。したがって大きな革新に気がつき、時代の潮流にのりおくれないようにするといった観点が必要です。


180623 オーディオ史
図 技術の進歩と歴史


こんなにどんどん進歩してもしょうがないとおもっている人もいますが、地元の音楽しかきいたことがなかった発展途上国の友人がヨーロッパや日本の音楽もスマホでたのしんでいるのをみて、これでよかったのだとわたしはおもっています。


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▼ 注
OTOTEN – Audio・Visual Festival 2018