「発想をうながすKJ法」から文章化の方法(作文法)について再度解説します。

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文章化の方法 -「発想をうながすKJ法」の解説(その3)-


「図解法」における「図解をつくる」もアウトプットのひとつですが、図解だけを他人に見せても何を意味しているのかわかってもらえないことが多いです。やはり、メッセージを相手につたえるためには言語をつかうのがもっとも基本的なやり方です。

文章化の方法(作文法)の手順は次の通りです。

〔図解をみる〕→〔構想をねる〕→〔文章をかく〕


■ 課題(テーマ)を確認する
まず、課題(テーマ)を再確認します。課題(テーマ)がしっかりしていると、統一的なトーンを文章に生みだすことができます。


1.図解をみる
図解にあらわれた構造を見なおします。 樹木でいえば樹形がわかるように 、ぱっと見て全体像をすみやかにつかむようにします。

図解がつくりだす全体的な構造(場)と、個々のラベルがつくる要素との両者を見ることが大切です。


2.構想をねる
どの「島」から書きおこし、どの「島」を結論にするか、全体の流れを構想します。出発点と到達点(目標)を決めます。


3.文章をかく
図解を視覚的に見て、それを言語に変換していきます。 図解から文章をひきだすわけです。

図解上の「表札」や「ラベル」にあらわれた単文は、「音韻言語」とはちがい、いわば「視覚言語」としてとらえることができます。「視覚言語」能力を身につけることにより情報処理の効率はあがります。

「表札」の下には「元ラベル」があり、「元ラベル」の下には体験(情報の本体)があります。体験は下部構造として潜在しています。体験を想起して書きくわえてもよいです。

図解は空間的構造的な存在ですが、それに流れをみいだし文章化します。文章化は時間的な行為です。

たとえてみれば、図解は「ダム湖」のような存在です。堰を切って水が流れでるように言語をアウトプットできるとよいです。

そういう意味では、図解の「元ラベル」の枚数が多いほど(情報量が多いほど)、「ダム湖」の水量は多くなるのでポテンシャルが高くなり(水圧がつよくなり)、とうとうと川が流れるように文章が流れでやすくなります。したがって図解には、質よりも量といった側面があるのです。

書いている途中で、ひらめきやアイデアがしばしば得られます。これらも文章化します。

文章化をくりかえしていると、情報を統合する能力がどんどん高まります。アウトプットの本質は情報を統合することにります。

どうしても文章がでにくい場合は、図解をながめてから、一旦ねるとよいです。潜在意識のはたらきにより、おきてみると書きやすくなっています。


文献:川喜田二郎著『発想法』(中公新書)中央公論社、1967年6月26日