「宇宙のすべてを支配する数式」は「重力」と「素粒子」についての数式です。数学の体系のなかに物理学の体系は包含されます。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年7月号では「宇宙のすべてを支配する数式」について解説しています。





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  • 数式の第1項は、「重力」をつかさどるところです。「重力」の正体は時空(時間と空間)のゆがみです。 
  • 宇宙には、「重力」「電磁気力」「弱い力」「強い力」の4種類の「力」があります。第2項は、「電磁気力」「弱い力」「強い力」をつかさどります。これら3種類の力は、素粒子のやりとりによって伝えられます。
  • 第3項は、物質を形づくる素粒子の運動や、その素粒子が生まれたり消えたりするしくみをあらわします。 
  • 第4項と第5項は、さまざまな素粒子に質量をあたえるはたらきをする「ヒッグス場」というものをあらわしています。
  • 第6項は、ヒッグス場が電子やクォークといった物質を形づくる素粒子の仲間に質量をあたえたり、物質を形づくる素粒子からヒッグス粒子が生まれるしくみをあらわしています。


素粒子から銀河、それらの運動や力のはたらきにいたるまで、宇宙のすべての現象をたったひとつの数式であらわすことができます。この「宇宙のすべてを支配する数式」は「重力」と「素粒子」についての数式です。

太陽や地球といった天体のまわりには重力が生じます。アインシュタインは、この重力の正体は、天体のまわりの時空のゆがみであるとかんがえました。地球が、太陽のまわりを公転しているのは、太陽が、その周辺の空間をゆがめているため、地球は、そのゆがみの影響をうけて進路がまげられているというわけです。地上で物体が落下するのは、地球による時空のゆがみの影響で物体の運動方向がかえられるからです。

物質は、こまかく分割していくと、それ以上分割できない最小の粒にいきつきます。その粒を「素粒子」といいます。力のはたらきは、「力をつたえる素粒子」によって説明することができます。たとえば電磁気力をつたえる素粒子は「光子」です。力をつたえる素粒子をやりとりすることで力が生じるというかんがえ方は、日本の物理学者・湯川秀樹のかんがえ方をおしすすめたものです。

宇宙空間は真空であり、何もない空っぽの空間だとおもっている人がいますが、実はそうではなく、空間をうめつくす水飴のように「ヒッグス場」がみちています。ヒッグス場の「水飴」から「抵抗」をうけやすい素粒子ほど質量が大きくなり、ヒッグス場から抵抗をまったくうけない光子は質量がゼロで、宇宙で最高速度である光速(秒速約 30 万キロメートル)ですすめます。




このように物理学者は、数式(数学)で宇宙をあらわし説明しています。例外はありません。

すると物理学の体系と数学の体系とではどちらが大きいのでしょうか?

それは数学です。数学の体系のほうが大きく、数学の体系のなかに物理学の体系は包含されます。

数学とは、人間の意識(心)のなかだけで純粋にすすめることができる分野です。実験や観測を必要としません。数学は、人間の意識の世界の典型です。すると物理学者がしめした宇宙は人間の意識のなかにあるということになるのでしょうか。意識のなかに宇宙はある。意識をとびだしていない。とびだすことはできない。

上記にしめしたようなことはすべて、人間の意識のなかでおこっているのではないか。

「宇宙のすべてを支配する数式」からはこんな想像もひろがります。あらためて、宇宙と意識についてかんがえなおしてみのもよいでしょう。


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▼ 参考文献
『Newton』(2018年7月号)、ニュートンプレス、2018年7月7日