ホーキング博士はわかりやすく宇宙論をかたりました。
世界でもっとも著名な科学者のひとり、スティーブン=ホーキング博士が、2018年3月14日にこの世をさりました。76歳でした。ホーキング博士は、宇宙のはじまりやブラックホールなどについて研究し、宇宙の謎にせまる歴史的な業績をのこしました。

グラフィックサイエンスマガジン『Newton』(2018年6月号)はホーキング博士の追悼記事を緊急特集しています。


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「私たちの宇宙は、なぜ私たち人間にとって都合よくできているのか?」
「宇宙の法則は、なぜ今のようになったのか?」

わたしたち人間が認知している宇宙は、人間が生存しやすいように実にうまくできています。宇宙の法則は、生命や人類の誕生に都合のよいように絶妙に微調整されているようにみえます。たとえば太陽と地球の距離も、生命や人類が誕生するためにきわめて適切なものになっています。わたしたち人間がいま存在しているのは、無数の幸運がつみかさなった結果であるとかんがえられます。

それではなぜ、人間にとって宇宙は都合よくできているのでしょうか?


ホーキング博士は、こうした問いに対する答えとして「人間原理」とよばれる考え方を支持していました。人間原理とは、「宇宙には私たちが現に存在しているのだから、この宇宙が、私たちが存在するのに都合よくできているのは当然である」という考え方のことです。(中略)

人間原理と非常に相性のよい理論があります。それは、「マルチバース宇宙論」です。宇宙誕生直後に、すさまじい勢いで宇宙空間が膨張したとする「インフレーション理論」によると、私たちの宇宙だけが誕生したのではなく、たくさんの宇宙(マルチバース)が誕生した可能性があるといいます。


わたしたちの人間の宇宙のほかにも宇宙が無数にあり、それらのほとんどはわたしたちには適しませんが、わたしたちに適した法則をもった宇宙もあって、それがまさに人間の宇宙なのです。次元や法則のことなる宇宙が無数にあり、人間の宇宙はそれらのうちの1つにすぎないというわけです。




ホーキング博士は、一般の読者むけに宇宙のなりたちなどを解説した『ホーキング、宇宙を語る』を 1988 年に発表しました。この本は、全世界で 1000 万部、日本でも 100 万部以上の発行部数を記録し、宇宙に興味をいだく人の必読の書となりました。



ホーキング博士は、科学をひろめるために研究のかたわら世界中で講演活動もおこない、おおくの人々から共感をえ、また愛されました。一方で、人工知能の発達など、科学技術が暴走しかねない将来に対して警告も発していました。

この機会にあらためて、ホーキング博士のメッセージをとらえなおしてみることに大きな意義があるとおもいます。


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▼ 引用文献
『Newton』2018年6月号、ニュートンプレス、2018年6月7日