ジクホコリの模型(約 1000 倍に拡大)
(平行法で立体視ができます)
(平行法で立体視ができます)
変形菌は、植物でもない動物でもない不思議な生き物です。変形菌をみると、人知をこえた多様性が自然にはあることがわかります。
企画展「変形菌」(へんけいきん)が、ミュージアムパーク茨城県自然博物館で開催されています(注1)。
動物それとも植物? 変形菌は、植物でもない動物でもない不思議な生き物です。ひとつの細胞からなる巨大なアメーバになってはいまわったかとおもえば、ひと晩のうちに、たかさ数ミリメートルの小さなキノコのような「子実体」(しじつたい)に変身します。その姿はまるで「森の妖精」のようです。
変形菌についてはほとんど知られていませんが、わたしたちの身近なところで変形菌は生きています。森のなかだけでなく、散歩道や公園の落ち葉や倒木のうえでもみつかります。
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
変形菌は、「変形体」とよばれるとても大きなアメーバとなってうごきまわり、餌となるバクテリアなどをたべて成長します。時間をかけて観察するとその動きや形が変わっていく様子がわかります。
変形菌は、「胞子」をつくって仲間をふやします。変形体は、温度や湿度に反応して、くらく湿ったところから、あかるく風通しのよいところに移動し、なかに胞子がたくさんつまった「子実体」に変身します。子実体は、風の力や雨の力などをかりてたくさんの胞子をとおくへとばし、次世代へ命をつないでいきます。その様子がホコリがまうようにみえるので、変形菌の和名は「○○ ホコリ」とつけられています。
エコロジーの先駆者・南方熊楠は、変形菌研究の先駆者でもありました。1908 年には、最初の日本産変形菌目録が熊楠によってまとめられました。1916年には、自宅の柿の木に付着した変形菌を発見しました。それまでは、変形菌は生木には発生しないとされていましたが、変形菌の新属新種であると判明し、これは、発見者にちなんで Minakatella longifila(ミナカタホコリ)と命名されました。
熊楠も、変形菌を観察しながら、生き物の不思議さ、自然の多様性を認識しました。現代のわたしたちも、変形菌についてもっとまなばなければなりません。
▼ 関連記事
変形菌 - ナショナルジオグラフィック 2018.4号 -
フィールドワークを実践する - 中沢新一著『熊楠の星の時間』-
問題解決を実践する - 企画展「南方熊楠 -100年早かった智の人-」(まとめ)-
▼ 注1
企画展「変形菌」
会場:ミュージアムパーク茨城県自然博物館
会期:2018年2月17日〜6月10日
▼ 注2:おすすめスマホ用カメラレンズ:マクロレンズ・広角レンズ (LEDライトつき)
動物それとも植物? 変形菌は、植物でもない動物でもない不思議な生き物です。ひとつの細胞からなる巨大なアメーバになってはいまわったかとおもえば、ひと晩のうちに、たかさ数ミリメートルの小さなキノコのような「子実体」(しじつたい)に変身します。その姿はまるで「森の妖精」のようです。
変形菌についてはほとんど知られていませんが、わたしたちの身近なところで変形菌は生きています。森のなかだけでなく、散歩道や公園の落ち葉や倒木のうえでもみつかります。
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
ウツボホコリ
森林には、倒木や落ち葉がたくさんあります。変形菌は、くさりつつある倒木や落ち葉・枯れ草などにみられます。ススホコリ
ムラサキホコリ
ヒメタカホコリ(接写)
会場には変形菌撮影コーナーがあり、そなえつけの拡大レンズ(マクロレンズ)を自分のスマホ・カメラにつけて変形菌を撮影(接写)することができます(注2)。ウツボホコリ(接写)
*
変形菌は、「変形体」とよばれるとても大きなアメーバとなってうごきまわり、餌となるバクテリアなどをたべて成長します。時間をかけて観察するとその動きや形が変わっていく様子がわかります。
変形菌は、「胞子」をつくって仲間をふやします。変形体は、温度や湿度に反応して、くらく湿ったところから、あかるく風通しのよいところに移動し、なかに胞子がたくさんつまった「子実体」に変身します。子実体は、風の力や雨の力などをかりてたくさんの胞子をとおくへとばし、次世代へ命をつないでいきます。その様子がホコリがまうようにみえるので、変形菌の和名は「○○ ホコリ」とつけられています。
- アメーバのようにうごきまわる(変形体)。
- 胞子のあつまった子実体をつくる。
変形菌の一生(生活環)はつぎのとおりです。
- 胞子が発芽してアメーバ状細胞が中からでてくる。
- ことなる性の細胞がであうと「接合」という現象がおこり「変形体」が誕生する。
- 変形体が成長したのち「子実体」をつくる。
- 子実体のなかで胞子がつくられる。
- 胞子が発芽してアメーバ状細胞が中からでてくる・・・
イタモジホコリの変形体
変形体の例
変形体は、落ち葉の下などのしめった場所をこのむため、目にする機会は普段はあまりありませんが、雨上がりには外にはいだしてくることが多いです。一見、ペンキをたらしたようで生き物にはみえませんが、時速数 cm ほどの速さでゆっくりとあらゆる方向にうごきます。種類によってさまざまな色があります。
変形体は、細胞のしきりが中になく、巨大なひとつの細胞です。変形体の中では、血管をとおるように物質がながれており、これを「原形質流動」とよびます。不思議なことに、この流れの向きは約1分ごとに反対方向にかわります。
ホソエノヌカホコリの子実体(拡大模型)
*
エコロジーの先駆者・南方熊楠は、変形菌研究の先駆者でもありました。1908 年には、最初の日本産変形菌目録が熊楠によってまとめられました。1916年には、自宅の柿の木に付着した変形菌を発見しました。それまでは、変形菌は生木には発生しないとされていましたが、変形菌の新属新種であると判明し、これは、発見者にちなんで Minakatella longifila(ミナカタホコリ)と命名されました。
熊楠も、変形菌を観察しながら、生き物の不思議さ、自然の多様性を認識しました。現代のわたしたちも、変形菌についてもっとまなばなければなりません。
▼ 関連記事
変形菌 - ナショナルジオグラフィック 2018.4号 -
フィールドワークを実践する - 中沢新一著『熊楠の星の時間』-
問題解決を実践する - 企画展「南方熊楠 -100年早かった智の人-」(まとめ)-
▼ 注1
企画展「変形菌」
会場:ミュージアムパーク茨城県自然博物館
会期:2018年2月17日〜6月10日
▼ 注2:おすすめスマホ用カメラレンズ:マクロレンズ・広角レンズ (LEDライトつき)