東京スカイツリーを利用してあらかじめ大観しておけば、江戸・東京のどこをどうほっつきあるけばよいかわかり、迷路にはまることもありません。
『江戸名所で歩く 大人の東京スカイツリー』(講談社)は、東京スカイツリー展望台からの眺め(鳥瞰写真)とともに、東京スカイツリーと江戸名所を紹介した旅行ガイドブックです。




東京スカイツリー展望回廊(450m)からの眺め(写真)

第一部 東京スカイツリータウン
 200年前の絶景『江戸一目屏風』
 東京スカイツリー展望デッキ(350m)からの眺め(写真)
 東京スカイツリーの楽しみ方
 1時間で楽しむ展望台の歩き方

第二部 大人の東京スカイツリー散歩
 ゆかりの人物と歩く江戸・下町散策
 ガイドの達人と歩く
 松尾芭蕉と歩く
 忠臣蔵と歩く
 葛飾北斎と歩く、他
 東京近郊の町へ
 下町歳時記
 江戸・下町の伝統の味
 江戸・下町文化を知ろう
 江戸・下町 大人の散策ガイドマップ


まずは、東京スカイツリー天望回廊(450m)と東京スカイツリー展望デッキ(350m)から撮影した鳥瞰写真をじっくりながめてみます。できれば実際に、東京スカイツリーにいってみます。いろいろなことが心のなかにうかんできます。

つぎに、18〜19ページに掲載されている『江戸一目屏風』(200年前の鳥瞰図、古図)をみます。昔と今をくらべてみます。

そして、112〜118ページに掲載されている『江戸・下町 大人の散策ガイドマップ』をみます。どこに行きたいか? いき先をかんがえます。

このような方法をつかうと、どこをどうほっつきあるけばよいか、すぐにわかります。これが鳥瞰(大観)の効果のひとつです。全体をみて部分にはいる、大観して地表をあるくようにします。全体→部分、大局→局所、大観→行動、といった順序に大きな意味があります。

こうして、全体をみて部分をしると(大観して行動すると)、今まで以上に全体がみえてきます。

もし全体をみていないと、部分のみをつっつくことになり、時間をかけたわりには充実感がえられず、場合によっては迷路にはまってしまいます。このことは、何かを勉強するときにもいえることです。




本書には、江戸時代の浮世絵師・鍬形蕙斎がえがいた『江戸一目屏風』も掲載されています。隅田川東の上空から西方をみおろした詳細なこの鳥瞰図は、200 年のときをへて東京スカイツリーの眺望となりました。

鍬形蕙斎は、当時えられていた地理的な情報を総合して、江戸の全景を想像してこの鳥瞰図をえがきました。彼の想像力のすごさ、情報処理能力のたかさがよくわかります。歴史上の賢者とは、上空からの視点で想像する能力のある人々でした。『江戸一目屏風』から東京スカイツリーまで 200 年のときをへていますが鳥瞰(大観)の本質は何もかわりません。

ガイドブックや地図を片手に地表をあるくことは誰もがしています。ごくあたりまえのことです。しかし鳥瞰(大観)の重要性をみおとしている人は多いのではないでしょうか。あらかじめ大観しておけば、地表をあるいているときでも、巨大空間のなかをあるいている気分になれます。これは、理屈ではなく体験です。


▼ 関連記事
大観して、課題を書きだす - 東京スカイツリー -
スカイツリーにのぼって首都を大観する

とおくから対象をみて大局をつかむ - LCC で空の旅 -
大局を見る→局所をおさえる→旅行計画をたてる -『地球の歩き方 ヨーロッパ』-
街道別の国内旅行ガイド -『地図と写真から見える! 日本の街道 歴史を巡る!』-
世界を理解するために、国立民族学博物館の世界地図をつかう
世界自然遺産を鳥瞰する -『世界自然遺産 鳥瞰イラスト 一度は訪れてみたい37の絶景』-
鳥瞰図をつかって手っ取りばやく旅先の国を知る - ネパール・ヒマラヤ鳥瞰図 -
鳥瞰図をみながら鉄道旅行 -『北陸新幹線沿線パノラマ地図帖』-
城郭と城下町をとらえなおす -『日本の名城 鳥瞰イラストでよみがえる』-
上空の視点から想像する - 司馬遼太郎『関ヶ原』-

▼ 参考文献
講談社編『江戸名所で歩く 大人の東京スカイツリー』(公認ガイドブック) 講談社、2012年4月26日