関節をつかった運動は脳からの指令によって制御されています。わたしたちは運動器系をつかってアウトプットをしています。
特別展「人体 - 神秘への挑戦 -」が東京・上野の国立科学博物館で開催されています(注)。第2展示室(4)では「運動器系」について展示・解説しています。

運動器系は身体をうごかすための器官系であり、骨格系と筋系にわけられます。

骨格系は、約 200 個の骨が連結して構成されています。体を維持し、関節での運動を可能にするだけでなく、脳や内臓を保護する役割ももち、骨の内部には造血組織ももっています。

筋系は、収縮と弛緩により骨や臓器をうごかす役割をもちます。骨をうごかす「骨格筋」は細胞の形状から「横紋筋」とよばれます。内臓や血管にも「平滑筋」とよばれる筋肉が存在し、とくに、心臓には「心筋」とよばれる特殊な筋肉があります。横紋筋は、わたしたちの意志によってうごかすことができるので「随意筋」とよばれます。平滑筋や心筋は意志とは関係なく、自然にはたらくので「不随意筋」と称されます。

  • 横紋筋(骨格筋):随意筋(意志でうごかせる)
  • 平滑筋や心筋:不随意筋(自然にはたらく)

あるく・はしる・書く・打つ・はなす・わらうなどの行動や運動は随意筋によるものです。

全身の骨格筋の数は約 400 個であり、体重の約 50 %の重量をしめています。関節をつかった運動には、多数の筋肉が強調してはたらく必要があり、これは、脳からの指令によって制御されます。




目や耳・鼻などの感覚器系からはいってきた(インプットされた)情報は、脳で処理され(プロセシング)、脳が、運動器系に指令をだすことによってわたしたちは運動をします。

このようにみてくると運動とはアウトプットであるとみなせます。とくに手をつかって書くという「運動」は本格的な情報のアウトプットになっています。声帯を振動させて言葉を発する(はなす)のも情報のアウトプットです。そして あるいたり はしったり体をうごかしたりすることも、その人のプロセシングにもとづいたアウトプットであり、その人の情報処理の状態を表現しているということになります。

このように、情報処理の観点から運動器系をとらえなおすと人間の運動や行動があらためてみなおせるとおもいます(図)。

180421 運動
図 運動はアウトプット


適切な運動や行動ができている人はプロセシングがうまくいっているのであり、運動や行動がおかしい人はプロセシングにエラーがおこっているというわけです。


▼ 関連記事
人体概論として最適 - 特別展「人体 - 神秘への挑戦 -」(国立科学博物館)-
物質のながれ - 特別展「人体 - 神秘への挑戦 -」(国立科学博物館)-
呼吸器系に進化をみる - 特別展「人体 - 神秘への挑戦 -」(国立科学博物館)-
循環器系と泌尿器系に進化をみる - 特別展「人体 - 神秘への挑戦 -」(国立科学博物館)-
脳に進化をみる - 特別展「人体 - 神秘への挑戦 -」(国立科学博物館)-
運動器系でアウトプットする - 特別展「人体 - 神秘への挑戦 -」(国立科学博物館)-
プログラムと環境要因の相互作用 - 特別展「人体 - 神秘への挑戦 -」(国立科学博物館)-
特別展「人体 - 神秘への挑戦 -」(国立科学博物館) - まとめ -

▼ 注
特別展「人体 神秘への挑戦」
国立科学博物館のサイト
特設サイト
会場:国立科学博物館
会期:2018年3月13日~6月17日
※ 一部をのぞき写真撮影は許可されていません。