180404 大観
図1 問題解決の3段階
地球を大観できる時代になりました。大観したら分析と総合にもとりくんでみるとよいでしょう。
宇宙にうかぶ地球、うすい大気の層、オーロラ、台風の目、幻想的な海、砂漠、うつくしい川・・・。『地球星の詩』(ちきゅうぼしのうた)は、宇宙飛行士の毛利衛さんが編集した地球の写真集です。



月の引力
太陽からの熱
さまざまなエネルギーが合わさって
生命の波を生む

熱帯雨林
この生命の宝庫はいま
絶滅の危機にあえいでいる

地球星に満ちる生命
3000万種

産業革命以来、エネルギー消費量は
急激に増えつづけている

生命の惑星
青い地球
海に育まれ
陸に歩み
空にはばたき
そして宇宙に舞う


宇宙船の開発とグローバル化がすすむ今日、このような写真集をつかえば、宇宙飛行士でないわたしたちでも地球を大観することができます。スペースシャトルから撮影した地球の姿はとてもうつくしく印象的です。宇宙から地球を大観できるようになって地球に関する認識が急激にふかまり、また人類は地球人になりました。

今日、この大観は、さまざまな問題を解決するための方法としても大きな意義をもつようになりました。

近代になってから、科学技術が発達したこともあって分析(分析的方法)がとくに重宝されてきましたが、その反動で、総合(総合的方法)をもっともちいなければならないと主張する人もでてきました。わたしは、これらにくわえて大観も方法として重視し、図1にしめすような「問題解決の3段階」を提唱したいとおもいます。これらの3つの方法は「大観→分析→総合」の順序でつかうのがもっとも効果的です。

そしてそれぞれの段階の内部で、人間主体の情報処理「(1)インプット、(2)プロセシング、(3)アウトプット」をおこないます。たとえばつぎのようにします。


 ■ 大観
 (1)全体を見る。大局をとらえる。
 (2)記憶がよみがえる。アイデアがうかぶ。
 (3)課題を書きだす。主題を決める。

 ■ 分析
 (1)主題に関してこまかく見る。局所をしらべる。
 (2)ポイントをかんがえる。
 (3)事実を書きだす。

 ■ 総合
 (1)すべての情報を見なおす。あらたな資料も見る。
 (2)仮説をたてる。
 (3)まとめの文章化。


大観は、高所大所から全体を見るということであり、たとえば山の上から、あるいは高い建物や塔の上から見るのも大観です。旅行などにでかけたときには積極的にやってみるべきですし、また仕事その他でいきづまったときにも有用です。大観を、方法としてあらためてとらえなおすことには大きな意義があるとおもいます。


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▼ 参考文献
毛利衛編『地球星の詩』(ちきゅうぼしのうた)朝日新聞社、1995年3月31日