太陽の活動は一定ではなく変動しており、通信障害や停電、気候変動など、大きな影響を地球にあたえます。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』(2018年5月号)の特集では、「太陽に異変がおきている?」と題して太陽の活動について解説しています。




太陽フレアが、地球に向いた面で起きると、地球にもその影響がおよびます。たとえば、1989年3月におきた大規模なフレアは、カナダのケベック州で9時間にわたる大停電を引きおこしました。フレアによって放出された大量のプラズマが地球を直撃し、地磁気を大く乱した結果、電磁誘導(磁気の変化によって導線に電流が生じる現象)によって変電所に過大な電流が流れて破壊されてしまったのです。

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フレア」とは、太陽表面でおきる巨大な爆発現象であり、フレアがおきると、その場所にある電離したガス(プラズマ)が 1000 万度をこえる温度まで加熱され、大量のプラズマが宇宙空間に放出されます。

これまでに観測された最大級のフレアの 1000 倍ものエネルギー規模をもつ「スーパーフレア」が今後おきる可能性もあり、その場合には、地球規模の通信障害と停電がおこります。

フレアのそばには、くらくておおきなシミのような部分があり、これは「黒点」とよばれます。太陽の表面温度は約 6000 度ですが、黒点は約 4000 度と温度がひくいために黒くみえます。黒点は、太陽によってつくられる強力な地場(磁力線)のかたまりで、多くの場合フレアは、黒点がもつ強力な磁場のエネルギーによっておこされるとかんがえられています。

黒点は、フレアなどの太陽活動のエネルギー源であるので、黒点が多いほど太陽活動は活発で、少ないほど太陽活動は弱いということがわかります。現在は、黒点の少ない日々がつづいていて、黒点があらわれない日もあります。数年後には、黒点がまた増えはじめると予想されています。

1600年代なかばから約 70 年間にわたって黒点がなくなった時期がありました。この時期は、地球の平均気温がほかの時期にくらべて低く、寒冷でした。

このように、太陽の活動や異変が地球環境の変動に大きく影響していることがわかってきました。 地球環境のなかにとじこめられて生存しているわたしたち生物にとっては、地球環境の変動は死活問題になります。

対策のひとつとして「宇宙天気予報」が実用化されています。わたしたちも「宇宙天気」にもうすこし関心をもって、通信障害や停電、気候の変化にそなえていく必要があるでしょう。


▼ 参考文献
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』(2018年5月号)ニュートンプレス、2018年5月7日発行