除染作業によって生じた汚染土を資源として再利用しようとする計画があります。汚染土をとおして放射性物質がふたたび拡散するようなことがあってはなりません。
除染作業がすすんでいます。避難指示解除もすすんでいます(注1)。

しかし除染作業でとりのぞかれた汚染土はどうなっているのでしょうか? その最終処分施設については建設の見通しすらたっていません。そこで政府は、比較的低濃度の汚染土については資源として再利用する計画をたてています。具体的には、下層路盤材や土木資材として汚染土をつかおうというのです。国民は、このような計画があることについて知らなければなりません。

しかしこのやり方は安全・安心を確保できるでしょうか。国民の理解がえられるでしょうか。

環境省によると、除染でとりのぞいた土壌などの処理の流れはつぎのとおりです。放射性物質をふくむ土壌や汚泥・草木・落ち葉をとりのぞき、容器などにいれます。仮置場や除染現場で一時的に保管します。中間貯蔵施設で保管します。30年以内に福島県外で、最終処分施設に処分します(注2)。

  1. 容器などにいれる
  2. 仮置場あるいは現場保管
  3. 中間貯蔵施設
  4. 最終処分施設(福島県外)

除染で取り除いた土壌等の管理(環境省)
県外最終処分に向けた取組み(環境省)


汚染土などは、フレコンバッグとよばれる黒い袋にいれられて仮置場におかれています。現在、フレコンバッグが 1650 万個あり、当面の措置として福島県内にある空き地など、あわせて 1100 ヵ所の仮置場と、家の庭先や校庭などでの「現場保管」13万7000 ヵ所にちらばっておかれています。これらは、福島県の大熊町と双葉町で建設がすすめられている中間貯蔵施設にはこばれます。中間貯蔵施設にはこぶことができたフレコンバックの量はこの3年間でおよそ 70 万袋分です。環境省は、来年度は1年間で 180 万袋分、再来年度は 400 万袋分とし、倍以上のペースで輸送量を増やしていきたいとしています。

福島第一原発の廃炉事業とともに、汚染土処理もながい時間がかかる“国家事業”です。汚染土のゆくえについて国民はもっと関心をもち、放射性物質を拡散させないようにしなければなりません。


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▼ 注1
日本科学未来館 パネル展示「Lesson #3.11 7年目の選択」
期日:2018年2月28日~4月9日
場所:日本科学未来館 5階 常設展示場内



▼ 注2
中間貯蔵施設の建設を福島県がうけいれるのとひきかえに、最終処分施設は福島県外に建設するというとりきめを国と福島県がとりかわしました。しかし最終処分施設をうけいれる自治体が今後みつかるのかどうか。住民の反対運動がおこります。このようなことが背景にあって、汚染土の再利用計画案がでてきたことが想像されます。