福島原発事故は世界最悪レベルの事故でした。廃炉には 30〜40 年かかととされます。日本国民は、この“国家事業”を継続して監視していかなければなりません。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年4月号の Photo Report では、「福島第一原発は今」と題して廃炉作業のすすみぐあいを報告しています。


福島第一原子力発電所の構内で一番目立つのは、汚染水の処理水などをためておくためのタンク群だ。

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タンクがふえつづけています。放射性物質で汚染された水を処理した水が、毎日 約 120 トンずつ貯蔵されつづけています(2017年12月時点)。350 平方メートルの広大な敷地には、現在、1000 基ほどのタンクがならび、処理水の貯水総量は 110 万トンにものぼります。

1〜3号機の建屋内にある「デブリ」はいまだに発熱しているので、冷却のために1日 200 トンの注水がおこなわれ、これが建屋内に汚染水としてたまります。

また山側から海側へ地下水がながれており、これが、建屋の外壁のすきまからはいりこんで、建屋内の汚染水とまざります。地下水が流入する分、汚染水はふえつづけます。

汚染水は、タンクに貯蔵されるまえに、放射性物質をとりのぞく浄化処理がおこなわれます。2013年3月より稼働をはじめた多核種書居設備は、汚染水にふくまれる63種の放射性物質のうち62種をとりのぞくことができます。しかしトリチウム(三重水素)だけはとりのぞくことができません。そのためタンクがふえつづけているのです。

タンクにためつづけているトリチウムの処理はどうするか?
  • 希釈して海に排水する
  • 地下に埋蔵する。
しかしこのような案では風評被害が発生し、地域経済に悪影響があります。解決策はまだみつかっていません。タンクをおいておく土地はあと数年で一杯になってしまいます。




福島第一原子力発電所の原子炉建屋内には、使用済み燃料プールにはいった核燃料と、圧力容器内にあった核燃料がとけおちてかたまった「デブリ」が今なおのこされています。廃炉をすすめるためには、この両方の核燃料を建屋からとりのぞかなければなりません。

3号機では、2018 年、使用済み核燃料のとりだし作業がはじまります。1号機では、2018 年1月、がれきの撤去作業がはじまり、これが 2021 年度までつづき、2023 年度から、使用済み核燃料のとりだしをはじめる計画です。2号機も、2023 年度をめどに核燃料のとりだしをはじめる計画です。




福島原発事故は、メルトダウンが3基の原子炉でおきるという世界最悪レベルの事故でした。国と東京電力がまとめた最新の工程表では、廃炉が完了するまでには 30〜40 年(最長40年)かかるとしています。最長 40 年かかったとすると廃炉完了は 2051 年となりますが、それまでに本当におわるでしょうか。国民は継続的に監視していかなければなりません。

また廃炉事業をすすめている国と東電の現在の幹部・責任者は、今から 33 年後まで生きているでしょうか。世代をこえた事業であることを自覚し、廃炉事業の後継者を養成しようという気持ちが彼らにはあるのかどうか。

当面の難関はデブリのとりだしです。とりだしにあたって大きな課題となるのが、核燃料からでる きわめてつよい放射線の影響や放射性物質の飛散です。「気中工法」という方法が検討されていますが、この方法で、放射性物質の飛散をどれだけおさえられるのか、安全対策を徹底できるかのか問題です。


▼ 参考文献
Newton 2018年4月号、ニュートンプレス、2018年4月7日発行