放射性物質の除染は“表面的”にはすすんでいますが、放射能汚染がなくなるわけではありません。放射性物質とその挙動について知ることが重要です。
シンポジウム「原発事故から7年、放射能汚染の状況はどこまで改善したのか」(主催:日本科学未来館)に参加しました(注)。放出された放射性物質はどこへいったのか? これからどうすればよいのか?専門家からの報告をふまえてかんがえました。
福島第一原子力発電所の事故により大量の放射性物質が大気中に放出されました。放射性物質は、ガス・一次粒子・二次粒子として空中にひろく拡散、その後、重力落下や降雨などによって地表などに沈着、非常に複雑な汚染分布をつくりだしました。
その後、陸域における放射性物質の移行(移動)はつぎのとおりです。
しかし森林では、生態系内で放射性物質の循環がおこっており、外にはほとんど移行していません。木も腐葉土も汚染されていてつかえません。林業の復興も絶望せざるをえません。
陸上から河川を通じて海への流出量は約3%にとどまり、放射性物質の大部分は陸域にまだのこっています。
農地については除染がすすめられて、農業の復興が徐々にすすんでいます。ほとんどの農作物が、基準とされる内部被曝の年間線量の1%以下となっています。ただし農地の除染とは農地の土壌をはぎとることであり、地表はでこぼこしているので放射性物質が4分の1ぐらいは実際にはのこっています。「除染した」といっても放射性物質が完全に除去されたわけではありません。
その他の場所でも除染がすすんでいます。ただし除染土は、地上からなくなったわけではなく、別の場所にうつして管理しているだけです。今後、どのように処理すればよいのか、課題がのこっています。
放射性物質の挙動と放射能汚染については全面的な情報公開が必要です。
国家権力や行政は、「住民を混乱させてはならない」という理由をつけて情報のすべては公開せず、選択された情報のみを公表するのが普通でした。ここには、あたえられた指示にしたがって住民は行動すればよいという暗黙の前提がありました。
しかし時代はかわり、情報化社会になりました。情報はかくそうとおもってもかくしきれません。すべての情報は公開されねばならず、また住民には知る権利があります。
ただし情報がふえれば、住民ひとりひとりがたくさんの情報を理解し判断しなければならなくなります。これまで以上に、ひとりひとりの主体性が重要になってくるともいえます(注)。
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雑談のなかに本音をきく - 原発事故をおそれていた技術者もいた -
▼ 注
シンポジウム「原発事故から7年、放射能汚染の状況はどこまで改善したのか」(日本科学未来館)
日時:2018年3月10日
場所:日本科学未来館・未来館ホール、コンファレンスルーム
主催:日本科学未来館
共催:消費者庁
▼ 注
住民の誰もが公開さた情報を見たり読んだりし(インプット)、理解し判断し(プロセシング)、そして主体的に行動します(アウトプット)。情報公開がすすめばすすむほど、一方で、住民の主体的な情報処理もいっそう重要になります。
福島第一原子力発電所の事故により大量の放射性物質が大気中に放出されました。放射性物質は、ガス・一次粒子・二次粒子として空中にひろく拡散、その後、重力落下や降雨などによって地表などに沈着、非常に複雑な汚染分布をつくりだしました。
その後、陸域における放射性物質の移行(移動)はつぎのとおりです。
- 樹木(森林)から土壌へ移行
- 土壌での下方移動
- 土壌から地下水へ移行
- 土壌侵食による河川への流出
- 河川から湖沼・ダムへの移行
- 河川から海への移行
しかし森林では、生態系内で放射性物質の循環がおこっており、外にはほとんど移行していません。木も腐葉土も汚染されていてつかえません。林業の復興も絶望せざるをえません。
陸上から河川を通じて海への流出量は約3%にとどまり、放射性物質の大部分は陸域にまだのこっています。
農地については除染がすすめられて、農業の復興が徐々にすすんでいます。ほとんどの農作物が、基準とされる内部被曝の年間線量の1%以下となっています。ただし農地の除染とは農地の土壌をはぎとることであり、地表はでこぼこしているので放射性物質が4分の1ぐらいは実際にはのこっています。「除染した」といっても放射性物質が完全に除去されたわけではありません。
その他の場所でも除染がすすんでいます。ただし除染土は、地上からなくなったわけではなく、別の場所にうつして管理しているだけです。今後、どのように処理すればよいのか、課題がのこっています。
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放射性物質の挙動と放射能汚染については全面的な情報公開が必要です。
国家権力や行政は、「住民を混乱させてはならない」という理由をつけて情報のすべては公開せず、選択された情報のみを公表するのが普通でした。ここには、あたえられた指示にしたがって住民は行動すればよいという暗黙の前提がありました。
しかし時代はかわり、情報化社会になりました。情報はかくそうとおもってもかくしきれません。すべての情報は公開されねばならず、また住民には知る権利があります。
ただし情報がふえれば、住民ひとりひとりがたくさんの情報を理解し判断しなければならなくなります。これまで以上に、ひとりひとりの主体性が重要になってくるともいえます(注)。
▼ 関連記事
雑談のなかに本音をきく - 原発事故をおそれていた技術者もいた -
▼ 注
シンポジウム「原発事故から7年、放射能汚染の状況はどこまで改善したのか」(日本科学未来館)
日時:2018年3月10日
場所:日本科学未来館・未来館ホール、コンファレンスルーム
主催:日本科学未来館
共催:消費者庁
▼ 注
住民の誰もが公開さた情報を見たり読んだりし(インプット)、理解し判断し(プロセシング)、そして主体的に行動します(アウトプット)。情報公開がすすめばすすむほど、一方で、住民の主体的な情報処理もいっそう重要になります。