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パネル展示「Lesson #3.11 7年目の選択
(交差法で立体視ができます)
原子力発電によるエネルギーではなく、再生可能エネルギーを選択できないでしょうか。
日本未来科学館が、「Lesson #3.11 7年目の選択」のパネル展示をしています(注)。東日本大震災と原発事故に関連して、巨大地震への備え、放射能汚染の現在、エネルギー問題について科学的なデータをまとめて解説しています。わたしたちは何を選択し、どのような未来をつくっていけばよいのでしょうか?

今年の「Lesson #3.11」のテーマは「選択」です。わたしは、再生可能エネルギーにとくに注目しました。

2010 年時点の日本の「電力として供給されたエネルギー」の比率はつぎのとおりでした。

  • 再生可能エネルギー 9.6%
  • 原子力 28.6%
  • 化石燃料 61.8%

日本の再生可能エネルギーによる電力比率は、ヨーロッパや中国とくらべると低い水準にとどまっています。

日本の現政権は、2030 年の目標としてつぎの比率をかかげています。

  • 再生可能エネルギー 22〜24%程度
  • 原子力 20〜22%程度
  • 化石燃料 56%程度

このうちの再生可能エネルギーの内訳はつぎのとおりです。

  • バイオマス 3.7〜4.6%程度
  • 風力 1.7%程度
  • 太陽光 7.0%程度
  • 水力 8.8〜9.2%程度

化石燃料の内訳はつぎのとおりです。

  • LNG(液化天然ガス)27%程度
  • 石炭 26%程度
  • 石油 3%程度


日本政府は、再生可能エネルギーによる発電量をふやすために、すべての電力利用者から特別な料金(賦課金)を徴収し、再生可能エネルギー開発業者をたすけるしくみ(固定価格買取制度)をつくりました。

世界各国では、太陽光や風力の発電コストが、原子力や石炭火力などの従来の発電方式と同程度、もしくはそれ以下にまでさがってきています。日本でも、発電施設がふえるにしたがって再生可能エネルギーのコストダウンがすすむと予想されます。

再生可能エネルギーによる発電は天候に大きく左右されるので発電量の調整をする必要があります。不足する電力をおぎない、あまった電力を活用することは可能です。

  • 発電量をこまかく調整できる火力発電をつかって調整します。
  • 揚水発電など、蓄電設備を利用します。
  • となりのエリアとのあいだで電力をやりとりします。
  • 消費者が節電をします。(デマンドレスポンスという方法が考案されています。再生可能エネルギーによる発電が大幅に予測を下まわった場合に、消費者に節電をよびかけて調整します。節電に応じた消費者にはその分が金銭などで還元されます。)

またエネルギーの内訳をかんがえるときには、環境汚染によって人々の健康に悪影響をあたえる可能性と、気候変動(地球温暖化など)によって生じる被害もあわせて考慮しなければなりません。

以上をふまえれば、再生可能エネルギーの割合をもっとふやし、原発ゼロをめざしたほうがよく、またそれは可能ではないでしょうか。そのためには消費者(国民)の理解と自覚が必要です。

政府案それとも原発ゼロ。あなたはどちらを選択しますか? 


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▼ 注
日本科学未来館 パネル展示「Lesson #3.11 7年目の選択」
期日:2018年2月28日~4月9日
場所:日本科学未来館 5階 常設展示場内