家庭などで音楽を再生するときに、オーディオ・システムをつかっている方がいらっしゃるとおもいます。
オーディオ・システム(オーディオ・コンポーネント)は、プレーヤーとアンプとスピーカーの3つの機器から構成されています。
プレーヤーとはCDプレーヤーなどであり、ディスクなどに記録された信号をとりだしてアンプに伝達する装置です。アンプとは日本語では増幅器といい、プレーヤーから入ってきたを信号を増幅する「増幅装置」です。スピーカーは、アンプからおくられてきた電気信号を音にかえてならす機器です。
このように、プレーヤー・アンプ・スピーカーの3点セットが適切にそろってこそオーディオはなりたちます。
〔プレーヤー〕→〔アンプ〕→〔スピーカー〕
この過程は情報処理の過程になっており、プレーヤーからアンプに信号がインプットされ、アンプはそれを増幅し、スピーカーは音楽をアウトプットします。
音楽の再生や表現もひろい意味の情報処理の一部であり、上記の3点がそろってこそ音楽の再生がなりたつということは情報処理の観点からも理解できます。
ここで、アンプ(プロセシング)に注目してみると、その基本的な機能は情報の増幅です。
つまり、プロセシングでは増幅という機能が重要であり、増幅があってこそアウトプットに価値が生じてくるのです。ただ単に、情報(素材)を伝達しているだけではあまり意味がありません。
人がおこなうプロセシングにおいては、もっとも重要となる増幅能力はイメージ能力(心象力)です。イメージ(心象)には情報を増幅させる力があり、さらに、人の能力それ自体を増幅させる力ももちます。したがって、「増幅装置」としてのイメージの力に注目し、イメージ訓練をつんでいくことは大切な事です。
▼ 参考文献:菅野沖彦著『新レコード演奏家論』
ステレオサウンド、2005年6月
「オーディオで音楽を再生することは、音楽に生命をあたえ表現することである」と主張し、そのようなことをする人を「レコード演奏家」とよんでいます。「レコード演奏家」は受動的な音楽鑑賞者ではなく、能動的な表現者です。アウトプットの価値を高めていくと、それは単なる出力ではなく表現へと発展していきます。