アウトプットは、インプットとプロセシングを点検・確認するための絶好のチャンスです。
練習4の例文を、「修飾の順序」と「読点」の技術(原則)をつかってわかりやすい日本語に修正してみたいとおもいます。


例文24) 景気ウォッチャー調査は内閣府が小売店の店員やタクシーの運転手など働く人たち2000人余りに3か月前と比べた景気がどうなっていると思うかを聞き、街の景気実感を毎月、指数にしています。(NHK NEWS WEB, 2017.10.10)

■ ばらしてみると、

景気ウォッチャー調査は
内閣府が
小売店の店員やタクシーの運転手など働く人たち2000人余りに
3か月前と比べた景気がどうなっていると思うかを
聞き、
街の景気実感を
毎月、
指数にしています。

■ 修飾の順序を修正すると、

小売店の店員やタクシーの運転手など働く人たち2000人余りに
3か月前と比べた景気がどうなっていると思うかを
聞き、
景気ウォッチャー調査は
街の景気実感を
内閣府が 
指数に
毎月
しています。

小売店の店員やタクシーの運転手など働く人たち2000人余りに3か月前と比べた景気がどうなっていると思うかを聞き、景気ウォッチャー調査は街の景気実感を内閣府が指数に毎月しています。

■「題目」(主題、提題)を最初にもってきて強調すると「逆順」になるので読点をうちます。 

景気ウォッチャー調査は、小売店の店員やタクシーの運転手など働く人たち2000人余りに3か月前と比べた景気がどうなっていると思うかを聞き、街の景気実感を内閣府が指数に毎月しています。


* 

例文25) 3分裂した民進党は、結集を図るはずだった希望の党の失速を受け、無所属で当選した前職を中心に再結集の模索が始まっている。(朝日新聞デジタル, 2017.10.23)

■ この文はとくに問題はありませんが「3分裂した民進党は、結集を図るはずだった」と読めてしまうところがわかりにくいです。「修飾の順序」の原則にしたがうと、

結集を図るはずだった希望の党の失速を受け、無所属で当選した前職を中心に3分裂した民進党は再結集の模索が始まっている。

■ 今度は、「無所属で当選した前職を中心に3分裂した民進党」と読めてしまうので、「3分裂した民進党は」を前にもってきて強調すると、逆順になり、

結集を図るはずだった希望の党の失速を受け、3分裂した民進党は、無所属で当選した前職を中心に再結集の模索を始めている。




例文26) 大相撲の横綱 日馬富士が平幕力士に暴行した問題の責任をとって29日、現役を引退し、記者会見で相撲ファンや関係者に謝罪したうえで「横綱としてやってはいけないことをやってしまった。横綱の名前を傷つけぬよう責任を持ちたい」と引退の理由を話しました。(NHK NEWS WEB, 2017.11.29)

■ ばらしてみると、

大相撲の横綱 日馬富士が
平幕力士に暴行した問題の責任をとって
29日、
現役を
引退し、
記者会見で
相撲ファンや関係者に謝罪したうえで
「横綱としてやってはいけないことをやってしまった。横綱の名前を傷つけぬよう責任を持ちたい」と
引退の理由を
話しました。

■ 修飾の順序をなおしてみると、

平幕力士に暴行した問題の責任をとって
大相撲の横綱 日馬富士が
29日
現役を
引退し、
「横綱としてやってはいけないことをやってしまった。横綱の名前を傷つけぬよう責任を持ちたい」と
相撲ファンや関係者に謝罪したうえで
引退の理由を
記者会見で
話しました。

平幕力士に暴行した問題の責任をとって大相撲の横綱 日馬富士が29日現役を引退し、「横綱としてやってはいけないことをやってしまった。横綱の名前を傷つけぬよう責任を持ちたい」と相撲ファンや関係者に謝罪したうえで引退の理由を記者会見で話しました。

■ 「」内は引用ですから、発言者の言葉をそのまま記述しなければならず、書き手が独断で書きなおしてはいけません。




例文27) 実務会談や局長級を首席代表とする実務協議の開催を巡っては、韓国側が北朝鮮側の提案や逆提案に応じる形が続いている。何としても五輪を成功させたい韓国側の意向につけ込み、北朝鮮が対話の主導権を握るための揺さぶりをかけている。韓国と北朝鮮は9日に板門店で開いた南北閣僚級会談で、北朝鮮が同五輪に選手団や高官級代表団を派遣することで合意した。(Yomiuri Online, 2018.1.16)

実務会談や局長級を首席代表とする実務協議の開催を巡っては、北朝鮮側の提案や逆提案に韓国側が応じる形が続いている。何としても五輪を成功させたい韓国側の意向につけ込み、対話の主導権を握るための揺さぶりを北朝鮮がかけている。板門店で9日に開いた南北閣僚級会談で、同五輪に選手団や高官級代表団を北朝鮮が派遣することで韓国と北朝鮮は合意した。

■ 日本語の作文では、「主語-述語」という固定観念をすてさることがもとめられます。日本語と英語では語順・文法がことなり、英文法は日本語にはあてはまりません。英文法の “呪縛” から解放されなければなりません。




例文28) 8週間で低下した脳機能が回復する!?(カルピスの広告, 2018)

低下した脳機能が8週間で回復する!?
8週間で、低下した脳機能が回復する!?




例文29) 日本のインフルエンザワクチンは、定期接種の対象になっている高齢者らを除き、任意接種なので、医療機関で打つと1本3500円前後する。(ハフポスト日本版, 2018.1. 27)

■ 読点がなくて書けます。不要な読点はうたないほうがよいです。

定期接種の対象になっている高齢者らを除き任意接種なので日本のインフルエンザワクチンは医療機関で打つと1本3500円前後する。

■「題目」(主題、提題)を前にもってくると、 

日本のインフルエンザワクチンは、定期接種の対象になっている高齢者らを除き任意接種なので医療機関で打つと1本3500円前後する。


* 


上記のような事例は日本語の作文技術の初歩であり、4〜5日練習すれば誰でも習得することができます。初歩的なことはさっさと身につけてしまい、作文技術の中級・上級へとはやくすすんだほうがよいです。技術とは、練習すれば誰でも身につけられるものであり、文才があるとかないとかということではありません。

また作文は、人がおこなう情報処理のなかのアウトプットであり、そのことを自覚することも重要です。アウトプットは、そのまえのインプットとプロセシングを反映しています。したがって作文は、あなたのインプットとプロセシングを点検・確認するための絶好のチャンスでもあります。あなたは何を見聞きし、何を感じたのでしょうか(インプット)。そして何をイメージし、何を記憶したのでしょうか。あるいはどのような思考や判断をしたのでしょうか(プロセシング)。インプットとプロセシングをあらためてとらえなおしてみるとよいでしょう。

このように、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉を自覚して情報処理のシステム(体系)のなかで作文技術を実践することがとても大事です。


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