花粉症の人がふえています。花粉症のメカニズムを知って対策をたてるようにします。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2018年3月号』の連載「徹底解剖 免疫システム」第2回では、「アレルギーの正体」について花粉症を軸にして解説しています。




「アレルギー」とは、食物やダニの死骸など、本来、体に害をおよぼさないものに対して過剰な免疫反応がおき、鼻づまりや鼻水、じんましん、かゆみなどの症状がおきることを指します。スギやヒノキなどの花粉を外敵と認識し、免疫システムが反応してしまう「花粉症」も、アレルギーの一種です。(中略)

今では、およそ3人に1人は花粉症にかかっているといいます。


対策としてはつぎのような方法があります。

  • 顔にフィットするマスクを着用すれば70〜80%の花粉をふせぐことができます。さらにマスクの内側に、ガーゼと化粧用のコットンを設置して鼻の下にあてることで、鼻にはいってくる花粉の99%をブロックすることができます。
  • ウール製の衣類は、花粉が付着しやすいので着ないようにします。
  • メガネは、目にはいる花粉量を約44%へらします。コンタクトレンズは、アレルギー性結膜炎の症状を悪化させる可能性があるので、花粉の時期にはメガネにかえたほうがよいです。
  • 環境省花粉観測システム(はなこさん)が、花粉量や花粉の飛散しやすい方向などを1時間ごとに公表しています。でかける前に確認して対策をたてるようにします。
  • 花粉が飛散する2週間ほど前から抗アレルギー剤をのみつづけると鼻炎の症状が抑制されることがわかっています。しかしどんな薬にも副作用があります。

花粉症のようなアレルギー反応は、寄生虫の侵入に対する身体の防御システムが、花粉やダニの死骸などの侵入に対して「誤作動」することでおきるとかんがえられています。

アレルギーをもつ人が近年ふえているのは、細菌やウイルスのすくない清潔すぎる環境にすむ人がふえたためではないかという仮説があります。これを「衛生仮説」といいます。

また「都会の花粉」の方が花粉症を悪化させることが知られており、これは、排ガスにふくまれる「ディーゼル粉塵」が花粉にくっついているためだとかんがえられています。


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ストレスをへらす -「免疫力を科学する」(Newton 2018.2号)-

▼ 参考文献
『Newton 2018年3月号』ニュートンプレス、2018年3月7日発行

▼ 追記
『Newton 2018年3月号』の Topic では「食物アレルギーの治療」について解説しています。アレルギーを発症させないために原因となる食材を従来は食べないようにしてきましたが、「食べながら慣らしていく」方法をとることが主流になりつつあるそうです。