古代アンデスのカラル遺跡に文明のはじまりの様子をみることができます。
古代アンデス文明展が国立科学博物館で開催されています(注)。

第1展示室では、古代アンデス文明のはじまりについて展示・解説しています。ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -


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未焼成の小型男性人像(カラル遺跡)
手づくねでつくられた土偶です。腕の先端部が欠けており、埋納の儀礼の一環としてこわされた可能性があります。



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線刻装飾のある骨製の笛2本(カラル遺跡)
ペリカンの骨製です。サル・トリ・ネコ科動物などの動物文様が刻線であらわされています。




カラル遺跡(紀元前3000年〜前1500年)は、6つの大規模な階段状基壇建造物が広々とした広場をかこんでおり、広場では、小型男性人像や笛をつかった儀式がおこなわれていたと想像されています。

紀元前 3000 年頃〜前 1500 年頃(先土器時代後期)に、アンデスの高地では、農業を基盤にした定住生活がひろまり、太平洋側では、農業と海産資源の利用がくみあわされた生活がひろまりました。またペルー北部海岸にそって大規模な神殿が多数つくられ、紀元前 2500 年〜前 1500 年までに海岸地域と高地のひろい範囲で祭祀センターが発達しました。

この時代の末期には、ほとんどの地域に土器がひろまり、農耕・定住という生活様式が確立したとかんがえられています。

カラル遺跡の発掘・研究により、古代アンデス文明は紀元前 3000 年頃までさかのぼることがあきらかになりました。アンデスでも、メソポタミア文明や古代エジプト文明とそれほどかわらない時代に文明がおこっていたのです。ただしアンデスでは、農耕もはじまりましたが、海産物を主食にしていた人々がそれ以前からいたという点がことなります。




また注目すべきは、文明発生の当初から、儀式をおこなったり、神殿や祭祀センターをつくったりしていたということです。文明というと、食料生産や技術革新といった物質文化の側面に注目するかもしれませんが、精神文化の側面もみのがせません。

文明が発展するとともに精神文化も、素朴な段階から高度な段階へと発達していくことになるのです。やはり人間は、物質だけでは生きていけませんでした。その精神文化は宗教といってもよいでしょう。文明のなかで宗教のはたした役割がいかに大きいか、現存する世界の大文明をみてもあきらかです(注2)。

このようにカラル遺跡は、文明のはじまり、文明が発生したときの様子をわたしたちにおしえてくれます。たいへん興味ぶかいです。 
古代アンデス文明展
特設サイト

▼ 注2
ヨーロッパ文明、イスラム文明、ヒンドゥー文明、中国文明など。