ストレスを日常的に軽減していくことが免疫力をさげないために必要です。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年2月号の新連載「徹底解剖 免疫システム」の 第1回は、「免疫力を科学する」と題して “侵入者” とのおわりなき戦いについて解説しています。



マクロファージやT細胞・B細胞といった免疫細胞によって、外部から侵入してくる異物から身を守るシステムを「免疫系」といいます。しかし私たちの体は、この免疫系だけで守られているわけではありません。ホルモン分泌をつかさどる「内分泌系」と、体のはたらきを調整する「自律神経系」がバランスを保つことで、健康を維持しているのです。この三つのシステムの総合力が「免疫力」といえるでしょう。

非常に強いストレスを受けた場合や、弱いストレスであってもそれが長期間つづく場合は、免疫力の低下がおきてしまうのです。


風邪ウイルスが侵入してきた(風邪にかかった)場合、熱がでるのは免疫細胞がただしくはたらいている証拠です。したがって風邪のひきはじめに解熱剤(抗炎症剤)をのむことは逆効果だといいます。

平常時、わたしたちの免疫力は十分にたかく、何かをすればもっとあがるというようなものではありません。しかし免疫力がさがる要因はたくさんあります。その大きな要因がストレスです。ストレスを軽減する方法を具体的にここで論じている余裕はありませんが、散歩をするとか音楽をきくとか半身浴をするとか、毎日できることをすぐに実践すべきです。

そのほか、バランスのとれた食事、喉や鼻の乾燥をふせぐことが免疫力をさげないために有効です。

また一度かかった病気を体が “記憶” するしくみを利用したのがワクチン(予防接種)です。ワクチンとおなじ病原体が体内に侵入した際には「記憶細胞」がいちはやく反応し、そして増殖したうえで大量の抗体をつくりだし、病原体を無毒化することで感染を初期でくいとめます。

地球上の生命はすべて、細胞によって、身体と環境、内と外をわけています。自己を意識する理由もここにあります。免疫系は、この内と外をみわける役割をもったシステムです。免疫系についてしることは、生命のなりたちを理解するためにも重要です。


▼ 関連記事
内と外とのあいだのやりとりに注目する -『やさしくわかる生命の科学』(Newton別冊)-
自然の音を聞いて心をリセットする
ぐっすり寝て情報処理をすすめる
神戸布引ハーブ園(まとめ)
立体視をして、肩こりやストレスを改善する - シンガポール植物園(2)「ヒーリング園」-
動植物を立体視してテクノストレスを軽減する - 自然教育園(18)-
圏外でリフレッシュする
みずから主体的にアウトプットする - カラオケでストレス解消 -
ストレスから解放される -「うつ病」(Newton 2017.11号)-
ゆらぎを感じてストレスを解消する

▼ 参考文献
『Newton』(2018年2月号)ニュートンプレス、2018年2月7日発行