クローン文化財は、文化財の保存と公開というジレンマを解消する手段として有用です。
東京藝術大学美術館で宮廻正明展が開催されています。その第2会場では「クローン文化財」が展示されています。 クローン文化財は、芸術と科学技術の融合によってうまれた文化財の高度な「クローン」です。

ステレオ写真はいずれも交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -


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法隆寺金堂釈迦三尊像の釈迦如来坐像

この釈迦如来坐像は、法隆寺で 3D スキャニングをし、3D プリンターをつかって原型をつくり、鋳造・研磨などをへて製作された「クローン文化財」です。単なる複製ではなく、欠落した螺髪(らほつ)や光背の火焔を復元してあります。

このようなクローン文化財であれば門外不出の国宝であっても公開ができ、展覧会を各地でひらくこともできます。劣化していく文化財の保存には非公開が最良の選択ですが、一般に公開されないとその価値は共有されず、文化財の存在意義がうしなわれてしまいます。クローン文化財は、文化財の保存と公開というジレンマを解消する手段として有用です。

クローン文化財は、オリジナル作品がうまれた当時のあざやかな色彩を復元することもできます。そして物としての側面だけでなく、オリジナルにこめられた意図や心を再現して後世につたえていこうとします。原作者のメッセージをきくことが大切です。

会場には、エドゥアール=マネの『笛を吹く少年』(原本:オルセー美術館)のクローン文化財も展示されていました。


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エドゥアール=マネ『笛を吹く少年』
(クローン文化財)

2014年に、国立新美術館で開催されたオルセー美術館展にオリジナルが出展されていたのでわたしもみにいきました。

ところがおどろいたことに、今回は、少年が外にとびだしていました。


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どのようにしてとびだしてきたのでしょうか?


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▼ 参考文献
宮廻正明「クローン文化財」学士会会報, 928, 2018