最新のサラウンド技術をつかえば3次元の音響空間に没入できます。聴覚をつかって3次元空間を認識する訓練をもっとすべきです。
最新のホームシアター・システムを体験できる「映画を聴こうプロジェクト」(注1)の体験イベントに参加しました。国内の5ブランド、DENON、marantz、YAMAHA、ONKYO、Pioneer の最新システムをききくらべるという企画です。
ホームシアターといえばサラウンド(立体音響)です。現在の映画館ではあたりまえになっているサラウンドが、一般家庭でも今では手軽に実現できるようになっています。ただしブルーレイプレーヤー(レコーダー)、AV アンプ(AV レシーバーともいう)、スピーカー、テレビなどが必要です。今回は、各社の AV アンプをじっくりききくらべることができました。
もっとも印象にのこったのは、DENON と marantz の あたらしい AV アンプにはじめて搭載された「Auro-3D」という新方式のサラウンド技術です。リスナーの周囲のみならず、2層あるいは3層のスピーカーを上部にも配置し、3次元(3D)の立体音響空間をうみだします。前方の再生音に、後方の再生音だけでなく高さ方向の再生音が追加され、周囲からだけでなく、頭上からも音がきこえます。水平音場に垂直音場がミックスされています。
しかし普段は、聴覚をつかった3次元の空間認知は意識することがあまりないのではないでしょうか。聴覚といえば、テレビの音声をきいたり、他者の話をきいたり、音楽をきいたりすることにもっぱらつかわれています。音楽も、イヤホンできいていると音楽そのものはきこえても、音響空間のなかにはいるといった感じではありません。
聴覚をつかって3次元空間を認知する訓練をもっとしてもよいのではないでしょうか。たとえば散歩にでかけたり旅行にいったりしたときに、聴覚をはたらかせて空間を認識するようにします。気にいった場所があったら、そこにすわって、目をとじてみます。すると聴覚をとおして外界の様子が認識できます。目の不自由な人は、音源とその反射音の両方をきいて壁までの距離を認知するといいます。これと似たようなこともできるはずです。このような訓練は心の空間を大きくひろげます。空間に心がみちてきます。瞑想にも通じる重要な実践です。
映画をみたり音楽をきくときにも3次元のほうがはるかによく心にひびくように、3次元的に心の世界がおおきくひろがれば気づきや発見がふえ、感動もふかまるにちがいありません。
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▼ 注1
▼ 注2
ホームシアターといえばサラウンド(立体音響)です。現在の映画館ではあたりまえになっているサラウンドが、一般家庭でも今では手軽に実現できるようになっています。ただしブルーレイプレーヤー(レコーダー)、AV アンプ(AV レシーバーともいう)、スピーカー、テレビなどが必要です。今回は、各社の AV アンプをじっくりききくらべることができました。
もっとも印象にのこったのは、DENON と marantz の あたらしい AV アンプにはじめて搭載された「Auro-3D」という新方式のサラウンド技術です。リスナーの周囲のみならず、2層あるいは3層のスピーカーを上部にも配置し、3次元(3D)の立体音響空間をうみだします。前方の再生音に、後方の再生音だけでなく高さ方向の再生音が追加され、周囲からだけでなく、頭上からも音がきこえます。水平音場に垂直音場がミックスされています。
3次元の音響空間ということでは「Dolby Atmos」や「DTS:X」という技術(フォーマット)がすでにありますが、今回のイベントでききくらべた結果、Auro-3D のほうがすぐれていると感じました。とても自然な音響空間、演奏会場にいるような臨場感、空間への没入感がすばらしく、音楽・ミュージカル・オペラなどの鑑賞にはとくにむいているとおもいました。2チャンネルのステレオ・システムとはまったく世界がちがいます。
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わたしたち人間は、3次元空間を視覚的に普段はとらえていますが、このように音でもとらえることができます。実際、外をあるいていて、うしろから車がちかづいてきたり、上のほうからカラスの鳴き声がきこえたりするときには聴覚をつかって認知をしています。
しかし普段は、聴覚をつかった3次元の空間認知は意識することがあまりないのではないでしょうか。聴覚といえば、テレビの音声をきいたり、他者の話をきいたり、音楽をきいたりすることにもっぱらつかわれています。音楽も、イヤホンできいていると音楽そのものはきこえても、音響空間のなかにはいるといった感じではありません。
聴覚をつかって3次元空間を認知する訓練をもっとしてもよいのではないでしょうか。たとえば散歩にでかけたり旅行にいったりしたときに、聴覚をはたらかせて空間を認識するようにします。気にいった場所があったら、そこにすわって、目をとじてみます。すると聴覚をとおして外界の様子が認識できます。目の不自由な人は、音源とその反射音の両方をきいて壁までの距離を認知するといいます。これと似たようなこともできるはずです。このような訓練は心の空間を大きくひろげます。空間に心がみちてきます。瞑想にも通じる重要な実践です。
映画をみたり音楽をきくときにも3次元のほうがはるかによく心にひびくように、3次元的に心の世界がおおきくひろがれば気づきや発見がふえ、感動もふかまるにちがいありません。
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