その国の基本的ななりたちを理解しようとおもったら地形にまず注目するとよいです。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年1月号の連載「日本の起源」第2回(終)では「日本列島 創成史」をとりあげています。
大陸のプレートの下に海洋のプレート(太平洋プレート)がもぐりこんでいることは誰でも知っているとおもいます。この太平洋プレートは、東太平洋海嶺で形成されてから非常にながい時間が経過しているので、海溝付近において、もぐりこむだけでなく、みずからの重みで下方にたれさがります(沈降します)。結果として日本海溝が太平洋側へ移動します。
そしてたれさがってあいてしまったあとのスペースをうめるように、上にあった大陸側のプレートの端が太平洋側へひきのばされてうごいてきます。こうして大陸の縁辺が移動してきて日本列島が形成され、日本列島と大陸のあいだは陥没して日本海ができたとかんがえられています。これが「ロールバック」とよばれる仮説です。
日本列島の南西部にある琉球列島地帯では、ロールバックが今でもおこっているとかんがえられています。琉球列島のすぐ北東側の地帯の海底は、沈降してややふかくなっていることが Google マップ&アース などでみるとあきらかです。海洋のプレートのロールバックの影響で、ユーラシアプレートの地殻が太平洋側へひきのばされて、沈降しながらうすくなっているのであり、琉球列島は大陸からとおざかりつつあるのです。
(出展:Googleマップ)
大陸のプレートの下に海洋のプレートがもぐりこんでいるという点ではアメリカ大陸西岸域も同様です。しかしどうして、ユーラシア大陸の東岸域には島々があるのに、アメリカ大陸西岸域には島がないのか? これは、アメリカ大陸西岸域でもぐりこむ太平洋プレートは、形成されてからあまり時間がたっていないためにロールバックがおこっていないからであると説明することができます。
日本列島は、日本国建設の “屋台骨” です。地形(地球の表層構造)はその国の物理的な大枠をつくっています。しかもそれは変更することができません。この列島が、日本人の思考や行動にどれだけ大きな影響をあたえてきたことか。
日本とはかぎらず、その国のなりたちを理解しようとおもったら地形にまず注目するとよいでしょう。
▼ 関連記事
日本列島とその周辺域を俯瞰する -『海の底にも山がある! 日本列島、水をとったら?』-
モデルをつかって理解する -『図解 プレートテクトニクス入門』-
大地震や火山噴火はくりかえし今後ともおそってくる - 是永淳著『絵でわかるプレートテクトニクス』-
▼ 注1
『Newton』(2018年1月号)、ニュートンプレス、2018年1月7日
「日本列島が大陸から分離したのは、太平洋プレートが沈みこみながら「ロールバック」した結果、フィリピン海プレートの東端が引きのばされてしまったからです。
大陸のプレートの下に海洋のプレート(太平洋プレート)がもぐりこんでいることは誰でも知っているとおもいます。この太平洋プレートは、東太平洋海嶺で形成されてから非常にながい時間が経過しているので、海溝付近において、もぐりこむだけでなく、みずからの重みで下方にたれさがります(沈降します)。結果として日本海溝が太平洋側へ移動します。
そしてたれさがってあいてしまったあとのスペースをうめるように、上にあった大陸側のプレートの端が太平洋側へひきのばされてうごいてきます。こうして大陸の縁辺が移動してきて日本列島が形成され、日本列島と大陸のあいだは陥没して日本海ができたとかんがえられています。これが「ロールバック」とよばれる仮説です。
日本列島の南西部にある琉球列島地帯では、ロールバックが今でもおこっているとかんがえられています。琉球列島のすぐ北東側の地帯の海底は、沈降してややふかくなっていることが Google マップ&アース などでみるとあきらかです。海洋のプレートのロールバックの影響で、ユーラシアプレートの地殻が太平洋側へひきのばされて、沈降しながらうすくなっているのであり、琉球列島は大陸からとおざかりつつあるのです。
(出展:Googleマップ)
大陸のプレートの下に海洋のプレートがもぐりこんでいるという点ではアメリカ大陸西岸域も同様です。しかしどうして、ユーラシア大陸の東岸域には島々があるのに、アメリカ大陸西岸域には島がないのか? これは、アメリカ大陸西岸域でもぐりこむ太平洋プレートは、形成されてからあまり時間がたっていないためにロールバックがおこっていないからであると説明することができます。
日本列島は、日本国建設の “屋台骨” です。地形(地球の表層構造)はその国の物理的な大枠をつくっています。しかもそれは変更することができません。この列島が、日本人の思考や行動にどれだけ大きな影響をあたえてきたことか。
日本とはかぎらず、その国のなりたちを理解しようとおもったら地形にまず注目するとよいでしょう。
▼ 関連記事
日本列島とその周辺域を俯瞰する -『海の底にも山がある! 日本列島、水をとったら?』-
モデルをつかって理解する -『図解 プレートテクトニクス入門』-
大地震や火山噴火はくりかえし今後ともおそってくる - 是永淳著『絵でわかるプレートテクトニクス』-
▼ 注1
『Newton』(2018年1月号)、ニュートンプレス、2018年1月7日