奇妙な系外惑星がつぎつぎに発見されて、惑星形成に関する従来の常識はくつがえされました。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年1月号の連載「宇宙にあふれる系外惑星」第3回(終)では、奇妙な系外惑星(太陽系以外の惑星)について解説しています。系外惑星のなかに、わたしたちの太陽系とはことなる惑星がつぎつぎにみつかっています。
わたしたちの太陽系の惑星は、太陽にちかいほうから、岩石惑星・巨大ガス惑星・氷惑星の順に配列し、ほとんどゆがみのない円軌道をえがいて太陽のまわりを公転しています。この太陽系の形成をうまく説明するモデル(仮説)として、京都大学の林忠四郎らは1980年代に「京都モデル」を発表しました。
しかし1995年以後、従来の常識ではかんがえられない、太陽系の惑星とは大きくことなる奇妙な惑星たちがつぎつぎにみつかってきました。
完成された理論であるとおもわれていた京都モデルはほかの惑星系にはあてはまらず、惑星形成理論は根本的に再構築しなければならなくなりました。常識はくつがえされたのです。もしかしたら、わたしたちの太陽惑星系のほうが「奇妙」なのかもしれません。
たとえば京都モデルでは、太陽系の惑星たちは、その場で(現在とおなじ軌道で)できたことを前提にしています。しかしホット・ジュピターやエキセントリック・プラネットがみつかってきたために、「惑星の軌道は動きうる」という前提で考察をすすめなければならなくなりました。惑星系の形成理論は根本からひっくりかえってしまい、惑星の軌道は移動するという “新常識” がうまれました。
するとあたらしい前提のもとで、わたしたちの太陽惑星系に関する仮説もたてなおすことになります。たとえば木星や土星は、火星付近まで内側に一度移動し、その後、ひきかえすように太陽からとおざかり、天王星・海王星はもとあった場所から外側へ大きく移動したという仮説「グランド・タック・モデル」が提唱されました。
このように科学者が提唱した理論が、あたらしい観測データによってひっくりかえされるということはよくあります。歴史的にみても常識はたえすくつがえされてきています(注2)。
仮説やモデル・理論とよばれるものにはかならず前提があります。その前提がくずれた場合、仮説も抜本的にたてなおさなければなりません。このようなプロセスがいわゆる「進歩」であることに気がつくことが大事だとおもいます。
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▼ 注1
『Newton』(2018年1月号)、ニュートンプレス、2018年1月7日
▼ 注2
このような観点からいうと、これからの時代は、たとえば地学の教科書にでてくる用語をただ暗記していてもあまり意味がありません。探究の方法、思考の方法を知ることが重要です。
ホット・ジュピター:木星のような巨大惑星であるにもかかわらず、恒星のごく近くを周期約4日で公転する。
エキセントリック・プラネット:極端な楕円軌道をえがく巨大ガス惑星。
スーパーアース:地球の数倍の質量をもつ岩石型の惑星。
わたしたちの太陽系の惑星は、太陽にちかいほうから、岩石惑星・巨大ガス惑星・氷惑星の順に配列し、ほとんどゆがみのない円軌道をえがいて太陽のまわりを公転しています。この太陽系の形成をうまく説明するモデル(仮説)として、京都大学の林忠四郎らは1980年代に「京都モデル」を発表しました。
しかし1995年以後、従来の常識ではかんがえられない、太陽系の惑星とは大きくことなる奇妙な惑星たちがつぎつぎにみつかってきました。
完成された理論であるとおもわれていた京都モデルはほかの惑星系にはあてはまらず、惑星形成理論は根本的に再構築しなければならなくなりました。常識はくつがえされたのです。もしかしたら、わたしたちの太陽惑星系のほうが「奇妙」なのかもしれません。
たとえば京都モデルでは、太陽系の惑星たちは、その場で(現在とおなじ軌道で)できたことを前提にしています。しかしホット・ジュピターやエキセントリック・プラネットがみつかってきたために、「惑星の軌道は動きうる」という前提で考察をすすめなければならなくなりました。惑星系の形成理論は根本からひっくりかえってしまい、惑星の軌道は移動するという “新常識” がうまれました。
するとあたらしい前提のもとで、わたしたちの太陽惑星系に関する仮説もたてなおすことになります。たとえば木星や土星は、火星付近まで内側に一度移動し、その後、ひきかえすように太陽からとおざかり、天王星・海王星はもとあった場所から外側へ大きく移動したという仮説「グランド・タック・モデル」が提唱されました。
このように科学者が提唱した理論が、あたらしい観測データによってひっくりかえされるということはよくあります。歴史的にみても常識はたえすくつがえされてきています(注2)。
仮説やモデル・理論とよばれるものにはかならず前提があります。その前提がくずれた場合、仮説も抜本的にたてなおさなければなりません。このようなプロセスがいわゆる「進歩」であることに気がつくことが大事だとおもいます。
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地球と生物の宿命をしる -「輝く星々の一生」(Newton 2018.1号)-
▼ 注1
『Newton』(2018年1月号)、ニュートンプレス、2018年1月7日
▼ 注2
このような観点からいうと、これからの時代は、たとえば地学の教科書にでてくる用語をただ暗記していてもあまり意味がありません。探究の方法、思考の方法を知ることが重要です。