見たり聞いたりしたことを想起して書きだしていると認知症が予防できます。
先日、認知症予防のために「回想法」などを紹介する番組をみました(注)。


高齢者の数人のグループが鉄道博物館を見学し、後日またあつまって、見たこと聞いたことを文章にして書きだし、発表会をおこなった。

昔の記憶をおもいだすことで自信をとりもどし、前向きになる。 


回想とは想起といってもよく、記憶法(記銘→保持→想起)の重要な過程です。これによって脳が活性化され、認知症が予防できるというのです。

文章にして書きだしたり、声にだして発表したりすることは、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)でいうとアウトプットにあたります。博物館の展示を見ることはインプットです。すると「回想法」とは情報処理訓練にほかなりません。

注目すべきはアウトプットに時間をかけることです。しっかり文章を書きだすことです。これによって情報の流れが格段によくなり、心が活性化されます。

身体もそうであるように、“おしり” がつまっていると何事も流れません。“おしり” がつまっているのに無理にインプットすれば病気になるにきまっています。まずは、“おしり” をととのえ、心身のなかをとおってきたものをよく放出することが大事です。

このような訓練は高齢者だけがやればよいということではありません。わかい人も子供もやるべきです。前世紀までの日本社会では、アウトプットをさせない、アウトプットをおさえつけるという風潮がありました。学校では、情報処理の観点がないヘンな “ツメコミ教育” がおこなわれていました。しかし時代はかわりました。「回想法」に国をあげてとりくまなければならならない状況になりました。

アウトプットをしていると、現地でメモをとっておいたほうがよくおもいだせるとか、記憶を定着させるためにしっかり睡眠をとったほうがよいということにも気がついてきます。アウトプットをつづけていると、結果的に、インプットも強化され、取材活動(フィールドワーク)もはじまります。できれば、アウトプットを毎日おこなうのがよいです。


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▼ 注
NHKスペシャル「シリーズ 認知症革命」
認知症 ともに新しい時代へ(NHK)