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中型象限儀
測量とは空間をはかることです。測量の歴史をしることは、世界(時空場)の認識をひろげていくために役立ちます。
国立科学博物館・地球館2階の「科学と技術の歩み、江戸時代の科学技術」コーナーには測量に関する展示・解説があります(注)。

ステレオ写真はいずれも交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -

中型象限儀は、伊能忠敬が全国測量のためにつかった天体の角度測定器です。
 


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量程車(上)と『量地図説』(全2巻)(下)
量程車は、車輪の回転を利用して距離をはかる測定装置です。伊能忠敬が全国測量に携帯した量程車は、箱内の歯車により10万間(180 km)まで表示できました。『量地図説』(全2巻)は測量方法や測量器具の解説書です。 


 
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小方儀(上)と製図道具一式(下)
小方儀は方位磁石であり、どのようにかたむけても水平がとれるようになっています。製図道具は定規や分度器・コンパスなどのほか、西洋的なペンタイプの筆記用具も江戸時代にすでにつかわれていました。




測量とは、天を測り地を量ることを意味する中国語の「測天量地」に由来します。

江戸時代には、西洋からつたえられた暦学や測量の知識もとりいれて、磁石で方位をはかり、測定器や算術をつかって位置や距離をもとめる測量技術が発達し、全国に普及しました。測量技術は、田畑の面積測定、治水治山、鉱山開発、新田開発、航海などに利用されました。

そんななかで伊能忠敬らによる日本地図製作は画期的な仕事でした。伊能忠敬は、1800年(寛政12年)に東北・蝦夷地(北海道)の測量を開始、1816年(文化13年)まで 10 次にわたって全国測量をおこない、また測量と天体観測により日本における緯度と経度の1度分のながさをもとめました。これらのデータをつかって非常に精度のたかい日本地図をつくりました。

このように、日本の測量技術と地図製作は江戸時代に花ひらき、その伝統は今日までうけつがれています。

測量とは空間をはかることであり、地図とはその結果を表現したものです。時間とともに空間は、われれれの世界(宇宙)のもっとも根本的な枠組みをつくっています。時刻をきざみ、空間をはかることは、世界(時空場)の認識に直結します。国立科学博物館の展示・解説をみながら測量の歴史をふりかえることは、時空場の認識をふかめ拡大していくために役立ちます。


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読み→計算→書き - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(1)-
時をきざむ - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(2)-
空間をはかる - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(3)-
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江戸時代をみなおす - 国立科学博物館・地球館2階「江戸時代の科学技術」(5)-

▼ 注
国立科学博物館・地球館2階「科学と技術の歩み」