Googleマップ&アースをつかった鳥瞰と、現地の踏査をくりかえすことによって環境保全の対策がたてられます。
『ナショナルジオグラフィック』(2017年11月号)では「アフリカ南部 巨大湿原の未来を守る」と題してオカバンゴ・デルタの生態系調査について報告しています。オカバンゴ・デルタは、アフリカ・アンゴラを水源とし、ボツワナにひろがる世界最大級の湿原地帯です。




上空から眺めると、水が長い時間をかけてじわじわと大地を削り、地形を形成してきたことがよくわかる。絶えず新しい川筋が切り開かれる一方で、古い川筋は塞がれる。干上がった大地も、雨季になれば水没し、くぼ地は湖沼に、小高い場所は島になる。そうしてこのカオバンゴ独特の生態系を形づくってきたのだ。

調査隊は、徒歩、カヌー、ヘリコプター、自転車などで移動し、これまでに8回の調査で6500キロ余りを踏破。自動撮影カメラなどの機器や、地元住民の知識を活用してデータを収集した。水源からデルタまでの初の系統的な調査を遂行し、保全戦略に役立てることが目標だ。

電子機器と人間の目がとらえたデータは、即座にコンピューターに入力されていった。



オカバンゴ・デルタの位置(Googleマップの航空写真)


上空からみたオカバンゴ・デルタはまるで植物のようです。ボツワナ北部の国境から南東にのびる "茎" の先には、ながさ150キロもある "花びら" がかさなりあっています。このデルタは海には面しておらず、乾燥地帯にできた内陸デルタです。デルタの水は、ナミビアをはさんで北に位置するアンゴラからもたらされ、デルタの先には砂漠の "海" がひろがっています。

ここは、さまざまな動物がくらす野生の楽園である一方、年間数百億円の収入をもたらす観光地でもあります。

現在、アンゴラの開発や人口増加などによりデルタの自然が破壊されるのではないかと心配されています。そこでナショナルジオグラフィック協会の支援により「オカバンゴ原生自然」プロジェクトがはじまりました。

上空から鳥瞰しているだけでは、ゾウやカバ・リカオンの姿や観光客の笑顔まではわかりません。オカバンゴ・デルタの実態・現状をしるためには現地の踏査も必要です。その結果、植物353種、魚類115種、鳥類407種、哺乳類68種、爬虫類64種、両生類35種、新種の可能性がある生物40種が確認されました。

一方で、木の伐採や炭焼き、狩りのための野焼き、密猟、化学肥料による農業開発、大規模な鉱業開発などが人間によりすすめられ、環境破壊がすすんでいることもあきらかになりました。

オカバンゴ・デルタを保全しようとおもったら、特定の動物だけを保護してもうまくいかず、水系を基盤とした生態系全体を保全しなければなりません。アンゴラ政府・ボツワナ政府とそれらの国民を説得できるかどうか。道のりはながいです。




このように、生態系保全あるいは環境保全のためには、その地域を上空から鳥瞰することと、現地を実際にあるく踏査が必要です。鳥瞰と踏査をくりかえすことによって実態・現状がわかり、対策が立案できます(図1)。

171128 大観と踏査
図1 鳥瞰と踏査をくりかえして対策をたてる


今日では、Googleマップ&アースをつかえばセスナ機がなくても、その地域を上空から誰でも鳥瞰することができます。気になる地域を Google でしらべて、そして、ここぞというところには実際に行って、現地をあるいてみるとよいです。認識・体験が急激にふかまります。鳥瞰と踏査をくりかえすのは現地調査(フィールドワーク)の基本的なやり方であり、環境保全以外の課題についてもつかえる重要な方法です。


▼ 注:参考文献
『ナショナルジオグラフィック』日経ナショナルジオグラフィック社、2017年10月30日