直列方式では処理がむずかしかったことが、並列方式にかえたら簡単にできたということはよくあります。プロセシングの本質は並列にあります。
先日、あるホテルに泊まったら、そのビルにはエレベーターが1基しかなく、つぎのような掲示がありました。

朝は、エレベーターが大変こみあいますので、はやめに移動してください。

実際そのとおりでした。

解決策としてはつぎの2案がかんがえられます。

 A:もっと高速でうごくエレベーターを導入する。
 B:エレベーターをもう1基ふやし、2基体制にする。

Bの方がよいでしょう。




また先日、ある美術館にいったら、チケット販売窓口前に ながい行列ができていました。よくみると、チケットを販売する人が1人、そのつぎにチケットを切る人が1人いました。2人とも、来館者を高速でさばこうと必死になっていました。

 C:チケットを販売する人→チケットを切る人

別の日に、別の美術館にいったら受け付けに2人の人がおり、それぞれの人が、チケットを販売し、おなじ人がすぐにチケットを切っていました。

 D:同時並行
    1人が、チケットを販売→チケットを切る
    もう一人も、チケットを販売→チケットを切る




これらの事例をみると、BおよびDのほうが処理能力がたかいことはあきらかです。

AおよびCは、直列方式であるため速度をあげる以外に方法がありませんが、BおよびDは並列方式ですので、個々の処理能力はおなじでも全体としては倍速になります。直列方式で、必死になって頑張るよりも、並列方式にした方がよいという例はほかにもたくさんあります。直列は1次元ですが並列は2次元であり、並列の方が次元が高いのです。プロセシングの本質は並列にあります。

このことは、努力するかどうかというよりも、気がつくかどうかといった問題です。

コンピューターでは CPU(中央処理装置)を並列させて処理能力をあげています。スーパーコンピューターでもそうです。

直列方式で、高速化の努力を必死になってしていてもできなかったことが、並列方式にかえただけで、努力しなくても簡単にできるということはよくあります。1次元から2次元へ、次元をあげることが大事です。


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