ニホンザル(平行法で立体視ができます)
里山のもつ緩衝機能をみなおし、人間と野生動物がすみわけて共存する方法があります。
よこはま動物園ズーラシアの「日本の里山」ゾーンでは、日本に生息する動物、日本に飛来する鳥を飼育・展示しています(注)。ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
近年、日本各地で獣害が問題になっています。人間と野生動物がちかづきすぎたことが一因だとおもいますが、だからといって、人間と野生動物とのあいだに明確な一線をひけば問題が解決するということではありません。何事もそうであるように、はっきりとした一線をひくと敵対関係が生じ、防御と攻撃が必要になります。その結果、一方が他方を支配すればよいというまちがった道にすすむことがあります。西欧文明にはその傾向があります。
日本には伝統的に、里山というあいまいな地帯がありました。人間の領域と野生動物の領域とのあいだに明確な一線をひくのではなく、相互浸透的な地帯をあえてつくっておくと、そこは半自然、二次的自然の領域となり、緩衝地帯として機能します。緩衝地帯をつくっておけば、野生動物はそこまでは顔をだす可能性がありますが、人里まではやってきません。緩衝地帯において対策を講じておけばよいということになります。里山のもつこの緩衝機能をあらためてみなおすべきです。
一方で、野生動物がくらす奥山(自然環境)には用がないかぎり人ははいらないようにします。この方法は、すみわけによって共存をはかる方法だといってもよいでしょう。
あいまいなやり方は日本古来のふるい方法だからだめだというのではなく、このような場合には役立ちます。あいまいな地帯を復活させ、人間と野生動物が日本列島のなかで共存する道をさぐるべきです。
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▼ 注
よこはま動物園 ズーラシア
開園時間・入園料
園内マップ
▼ 参考文献
村田浩一監修『よこはま動物園ズーラシアガイドブック 改訂版 II』公益財団法人横浜市緑の会、2015年4月22日発行(正門ちかくのショップで購入できます)
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -
ニホンザル(霊長目 / オナガザル科)
本州・四国・九州に分布し、ホンドザルともよばれています。サル類のなかではもっとも北にまで分布していることで知られます。野生では、さまざまな植物の葉・果実・芽・種子・樹皮や昆虫などの動物質も食べます。母子間の血縁関係によるむすびつきを中心として、複数の雄と雌で構成される10~70頭前後の群れをつくります。ニホンザル(霊長目 / オナガザル科)
ニホンツキノワグマ(食肉目 / クマ科)
下北半島以南の日本列島(本州・四国)に分布します。海岸から高山帯までの森林に単独で生活しています。さむい地方のものは、樹洞・岩穴・土穴・木の根元などにできた穴を利用して冬ごもりをします。雌はこの間に出産・育児を行います。 ニホンツキノワグマ(食肉目 / クマ科)
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近年、日本各地で獣害が問題になっています。人間と野生動物がちかづきすぎたことが一因だとおもいますが、だからといって、人間と野生動物とのあいだに明確な一線をひけば問題が解決するということではありません。何事もそうであるように、はっきりとした一線をひくと敵対関係が生じ、防御と攻撃が必要になります。その結果、一方が他方を支配すればよいというまちがった道にすすむことがあります。西欧文明にはその傾向があります。
日本には伝統的に、里山というあいまいな地帯がありました。人間の領域と野生動物の領域とのあいだに明確な一線をひくのではなく、相互浸透的な地帯をあえてつくっておくと、そこは半自然、二次的自然の領域となり、緩衝地帯として機能します。緩衝地帯をつくっておけば、野生動物はそこまでは顔をだす可能性がありますが、人里まではやってきません。緩衝地帯において対策を講じておけばよいということになります。里山のもつこの緩衝機能をあらためてみなおすべきです。
一方で、野生動物がくらす奥山(自然環境)には用がないかぎり人ははいらないようにします。この方法は、すみわけによって共存をはかる方法だといってもよいでしょう。
あいまいなやり方は日本古来のふるい方法だからだめだというのではなく、このような場合には役立ちます。あいまいな地帯を復活させ、人間と野生動物が日本列島のなかで共存する道をさぐるべきです。
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▼ 注
よこはま動物園 ズーラシア
開園時間・入園料
園内マップ
▼ 参考文献
村田浩一監修『よこはま動物園ズーラシアガイドブック 改訂版 II』公益財団法人横浜市緑の会、2015年4月22日発行(正門ちかくのショップで購入できます)