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大菊(平行法で立体視ができます)
菊のうつくしさと、花壇のうつくしさが相乗効果をうみだしています。個即全、全即個の場があります。
新宿御苑で「菊花壇」展が開催されています(注)。ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。会場で撮影しました。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -



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大菊花壇
大菊は、菊の代表的な品種であり、花びらが花の中央をつつみこむように まるく さくのが特徴です。大菊をつかってつくられた大菊花壇は、神馬の手綱模様にみたてた「手綱植え」とよばれる新宿御苑独自の様式がもちいられ、39品種311株の大菊を黄・白・紅の順にうえつけており、花全体がつくりだす空間のうつくしさもたのしめます。



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丁子菊(チョウジギク)
丁子菊(チョウジギク)は花の中心部がもりあがってさく菊です。アネモネ咲きともよばれます。



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丁子菊花壇
中央に一輪、周囲に六輪の菊をさかせる「一六作り」とよばれる様式がつかわれています。古典菊を配色よくうえこんでいます。



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江戸菊
江戸菊は花がさいてから、花びらがたちあがったりねじれたりと変化していくのが特徴です。さきすすむごとに表情をかえていくことから「狂菊」という別名もあります。江戸時代に江戸で発達した古典菊です。



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江戸菊花壇
全体の色彩と配列がうつくしく、時間の経過とともに変化していくダイナミックな花壇です。新宿御苑の菊花壇のなかでもっともふるい様式です。




以上のように、それぞれの菊もうつくしいですが、たくさんの菊があつまってできる花壇もみごとです。菊は要素、花壇は構造であり、要素と構造の相乗効果がうつくしさを倍増させて、個々のうつくしさをこえた全体的な調和がすばらしく、見る者をたのしませてくれます。要素は「個」、構造は「全」といいかえてもよいでしょう。

  • 菊 :要素、個
  • 花壇:構造、全

ここでは、個が先でもなく、全が先でもありません。個即全、全即個です。個と全の共鳴がおこっています。あるいは、多くの菊があつまって一つの花壇をつくっている、一つの花壇は多くの菊があつまってできていて、菊と花壇は調和しているので、多即一、一即多といってもよいでしょう。ここでは「一」とは全体のことです。創造的な場とはこのようなものなのでしょう。

わたしたちは何かを見るときに、ひとつの対象に集中しがちです。しかしひとつの対象は要素であり、それをふくむ構造がかならずあるはずです。そのことを自覚するだけで、いろいろなことがもっと見えてくるとおもいます。


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花の形と花壇の構造の両方を立体視する - 新宿御苑(5)「菊花壇」展 -

▼ 注
新宿御苑
イベント・利用案内情報【11月3日号】
御苑でもっとも古い歴史のある「江戸菊花壇」

新宿御苑「菊花壇」展
日時:2017年11月1日~11月15日、9:00~16:00(閉門は16:30)(期間中は無休)
会場:新宿御苑内日本庭園
料金:新宿御苑への入園料(大人200円、小・中学生50円)




171102 新宿御苑
 会場案内図(パンフレットより引用)
 順路にそってあるくともっともうつくしく観賞できるようにデザインされています。