建物の3次元構造をまずおぼえて、そのなかのそれぞれの場所に情報を結合して記憶していきます。
人がおこなう情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)において、記憶法は、プロセシングの方法のひとつとして重要です。

記憶法のなかでもっとも基本的な方法が「空間記憶法」です。この記憶法のなかですぐにできる方法として、博物館・美術館・図書館・書店・水族館などの建物をつかうやり方があります。建物をつかう記憶法は歴史的にとてもふるくから実践されている方法です。

建物のなかでも博物館は記憶の場として最適です。日本には、とてもたくさんの博物館があるので、自分のすきな分野の博物館をさがしだし、そこにくりかえしいって記憶法を実践するとよいです。

博物館にいったら、まずは、その建物の3次元構造をイメージできるようにします。フロアーマップなどが役立ちます。つぎに、それぞれの展示品を、建物の構造のなかの場所でおぼえていきます。どこにそれがおいてあったのか、イメージできるようにします。

このようにして、博物館の建物のなかのそれぞれの場所に、それぞれの展示品とその解説をむすびつけておぼえていきます(注)。

同様なことは美術館でもできるでしょう。

また図書館や書店でもできます。まずは、図書館や書店の建物の構造をおぼえます。つぎに、分類配置をおぼえます。図書館や書店では、たくさんの書籍がみごとに分類配置されています。フロアーマップをみたり館内・店内をあるいて、それぞれの分野が建物のなかのどこに配置されているか、空間配置をイメージできるようにします。そのうえでよむ本を選択します。よんだ本がどこの場所においてあった想起できるようにします。
  • 本がおいてあった場所をイメージして、本を想起する。
  • 本をみて、それがおいてあった場所をイメージする。

似たようなことは水族館でもできます。あるいは建物ではありませんが動物園や植物園でもできます。全体構造をあらかじめおぼえておき、そのなかの場所に情報をむすびつけるようにします。視覚空間をつかうのがポイントです。

気にいった建造物を決めて、くりかえしそこへ足を はこぶようにするとよいでしょう。すると体験として情報が定着して「体験ファイル」が形成され、情報処理もすすみます。


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▼ 注
記憶法の基本は、あらたにインプットされた情報を、すでにもっている記憶情報につぎつぎに結合させていくところにあります。そのときの情報は、雑然としたものよりも、情報のひとまとまりつまり「ファイル」になっていた方がよいです。建物をつかった記憶法を実践していると、このような情報をたくわえる場として建物が機能します。

▼ 参考文献
栗田昌裕著『絶対忘れない! 記憶力超速アップ術』(日文新書)2010年5月28日