植物と鳥が共生しています。共生はごくありふれた現象です。
実りの秋になり自然教育園にもさまざまな果実がみられるようになりました(注1)。冬をまえにして鳥たちがさかんに果実をつついています。さむくなってきて昆虫がいなくなると、鳥たちにとってはこうした果実が貴重な餌になります。

鳥たちが果実を食べても種子は消化されず、糞として別の場所に散布されます。植物にとっては、鳥たちに果実を食べられることによって種子をとおくにはこぶことができ、種の繁殖につながります。

このように、植物と鳥は敵対関係にあるのでなく、共生関係にあります。鳥が食べつくして、植物はいずれ絶滅してしまうということはありません。

生物界には、こうした共生の例がたくさんみられます(注2)。

  • 昆虫と被子植物(花をさかせる植物)が共生しています。昆虫は、被子植物の受粉の仲立ちをしながら、花蜜や花粉などを食料としてえています。
  • ある植物はアリと共生しています。植物を食べる植物性動物から身をまもるためにアリと共生し、アリはほかの動物をおいはらい、植物は、アリの食料や住み場所を提供しています。
  • ほとんどの陸上植物は、地下において真菌類とむすびついて共生しています。
  • 地球上にひろく分布する地衣類は、菌類と藻類が共生してひとつのからだをつくっている複合体です。 

今日では、共生はごくありふれた現象であることがあきらかになっています。共生関係を知ることは、生物がつくりだすネットワークつまり生態系を認識することになり、同時に、生物多様性を理解することにつながります。そこには基本的には共生原理がはたらいています。競争原理ではありません。

個々の生物を分析的にとらえるだけでなく、生態系と多様性をとらえることがとても重要です。共生の例をみつけたら、今後とも紹介していきたいとおもいます。 


▼ 注1
果実をうみだす - 自然教育園(26)-
 
▼ 注2
国立科学博物館「大学生のための自然史講座 博物館で知る自然史 〜日本列島を中心に〜」(2017年)