ロシア・ヤマル半島の遊牧民が苦境にたたされています。伝統と開発の共存はもはやできないでしょう。
『ナショナルジオグラフィック』(2017年10月号)では、「天然ガスとトナカイの民」と題して、ロシアの極北地方・ヤマル半島で遊牧生活をつづけてきたネネツの人々の苦境を解説しています。
ガスプロム社とはロシア国営のエネルギー資源会社であり、採掘基地・道路・パイプラインの建設をすすめ、ロシア国内の天然ガスの大半を生産し、EU が輸入する天然ガスの3分の1以上をまかなっています。ヤマル半島での天然ガス生産量は 2030 年までに年間 3600 億立方メートルになり、これは、ロシア全体の生産量の3分の1以上をしめることになります。
一方、先住民ネネツの人々は、トナカイをつれて、夏は、ヤマル半島の放牧地へ移動し、冬になると南へもどるという遊牧生活をつづけてきました。しかし半島にはりめぐらされた道路やパイプラインにより移動に大きな支障がでています。
くわえて地球温暖化の影響によりトナカイが大量に死んでいます。たとえば2014年には、季節はずれの雨がふって雪がのこる地面に氷があつくはり、トナカイが、氷にはばまれて雪の下にある地衣類をたべることができず、6万頭以上が死にました。
「先住民と資源会社、伝統と開発は共存できるのか?」といった問いかけをナショナルジオグラフィックなどはしていますが、それはもはや無理でしょう。開発につぐ開発、人間の欲望はとどまるところをしりません。現代の開発は巨大であり伝統をつぶします。
せめてできることは、彼らの伝統生活がうしなわれる前に彼らの生活の正確な記録をとることです。そしてその記録を後世にのこすことです。文化人類学者(民族学者)と民族学博物館の役割がとても大きいです。
▼ 参考文献
『ナショナル ジオグラフィック日本版』2017年10月号、日経ナショナル ジオグラフィック、2017年9月30日
トナカイの遊牧と石油・天然ガス開発は「バランスよく」共存できるはずだと、ガスプロム社の幹部や地方政府、NGO、それにネネツの遊牧民自身も口をそろえる。だが遊牧の現場に来てみると、そんな主張が幻想にすぎないことがわかる。
ガスプロム社とはロシア国営のエネルギー資源会社であり、採掘基地・道路・パイプラインの建設をすすめ、ロシア国内の天然ガスの大半を生産し、EU が輸入する天然ガスの3分の1以上をまかなっています。ヤマル半島での天然ガス生産量は 2030 年までに年間 3600 億立方メートルになり、これは、ロシア全体の生産量の3分の1以上をしめることになります。
一方、先住民ネネツの人々は、トナカイをつれて、夏は、ヤマル半島の放牧地へ移動し、冬になると南へもどるという遊牧生活をつづけてきました。しかし半島にはりめぐらされた道路やパイプラインにより移動に大きな支障がでています。
くわえて地球温暖化の影響によりトナカイが大量に死んでいます。たとえば2014年には、季節はずれの雨がふって雪がのこる地面に氷があつくはり、トナカイが、氷にはばまれて雪の下にある地衣類をたべることができず、6万頭以上が死にました。
「先住民と資源会社、伝統と開発は共存できるのか?」といった問いかけをナショナルジオグラフィックなどはしていますが、それはもはや無理でしょう。開発につぐ開発、人間の欲望はとどまるところをしりません。現代の開発は巨大であり伝統をつぶします。
せめてできることは、彼らの伝統生活がうしなわれる前に彼らの生活の正確な記録をとることです。そしてその記録を後世にのこすことです。文化人類学者(民族学者)と民族学博物館の役割がとても大きいです。
▼ 参考文献
『ナショナル ジオグラフィック日本版』2017年10月号、日経ナショナル ジオグラフィック、2017年9月30日