シルクロードをとおって西方の文化が日本に流入し(インプットされ)、重層文化が形成されました。重層文化をさらに発展させるにはどうすればよいか。日本人の課題です。
シルクロード特別企画展「素心伝心 -クローン文化財 失われた刻の再生-」が東京藝術大学美術館で開催されています(注)。「クローン文化財」というあたらしい特許技術を提示したおもしろい美術展です。この「クローン文化財」によりシルクロード各地の美術がみごとによみがえります。
- 法隆寺金堂の釈迦三尊像と壁画(日本)
- 古墳群江西大墓四神図(高句麗)
- 莫高窟第57窟(敦煌)
- キジル石窟第212窟(新疆ウイグル自治区)
- ペンジケント遺跡(タジキスタン)
- バーミヤン東⼤仏天井壁画(アフガニスタン)
- バガン遺跡ミンカバー・グビャウクジー寺院壁画(ミャンマー)
それぞれの作品をみるだけでなく、再現された空間もたのしむことができます。空間に心をくばるようにすると日常とはちがう新鮮な体験ができ、心のバランスもとりもどせます。
また展示室には、視覚だけでなく触覚・聴覚・嗅覚の効果もしくまれていて、さまざまな感覚を統合することでみごとな臨場感が生じます。シルクロードがいっそう身近に感じられてきます。
また展示室には、視覚だけでなく触覚・聴覚・嗅覚の効果もしくまれていて、さまざまな感覚を統合することでみごとな臨場感が生じます。シルクロードがいっそう身近に感じられてきます。
シルクロードは西方の文化を日本にまではこんできました。日本はシルクロードの終着地でした。西方のさまざまな文化は日本に集積し、「重層文化」が形成されました。下から順番に地層がつみかさなっているイメージです。西方の文化は、日本人の心の深層に潜在しており、日本人にとってシルクロードは「文化のふるさと」です。
日本人は、外来の文化をうけいれるのが得意です。自己主張がつよい大陸の文明人とはちがいます。情報処理的にいうとインプットがうまくできるということです。あとはプロセシングとアウトプットです。
▼ 記事リンク
再現空間にはいる - シルクロード特別企画展「素心伝心」(東京藝術大学美術館)(1)-
臨場感をたのしむ - シルクロード特別企画展「素心伝心」(東京藝術大学美術館)(2)-
空間に心をくばる - シルクロード特別企画展「素心伝心」(東京藝術大学美術館)(3)-
複数の感覚を統合する - シルクロード特別企画展「素心伝心」(東京藝術大学美術館)(4)-
文化のふるさとをたどる - シルクロード特別企画展「素心伝心」(東京藝術大学美術館)(5)-
臨場感をたのしむ - シルクロード特別企画展「素心伝心」(東京藝術大学美術館)(2)-
空間に心をくばる - シルクロード特別企画展「素心伝心」(東京藝術大学美術館)(3)-
複数の感覚を統合する - シルクロード特別企画展「素心伝心」(東京藝術大学美術館)(4)-
文化のふるさとをたどる - シルクロード特別企画展「素心伝心」(東京藝術大学美術館)(5)-
▼ 関連記事
移植・模倣・改善の潮流をよみとる - 角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』(2)-
日本の受容の文化をいかす 角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』(5)-
▼ 注
会場:東京藝術大学美術館
会期:2017年9月23日〜10月26日※ 一部をのぞき写真撮影が許可されていました。
▼ 参考文献
『シルクロード特別企画展「素心伝心」』(解説書)東京藝術大学、2017年9月13日