うつ病が発症する原因が科学的・医学的にわかってきました。ストレスから解放される工夫を誰もがしなければなりません。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』(2017年11月号)の連載「現代人を悩ます五大疾病」(最終回)では「うつ病」を解説しています。

本論では、「全身を駆け巡るストレスホルモンがうつ病の原因」であると説明しています。
うつ病の治療としては、神経伝達をもとの状態に回復させる「抗うつ薬」の服用があります。
また「マインドフルネス」などをとりいれた「認知行動療法」もおこなわれています。認知行動療法では、医者と患者の関係を、「お客さんとタクシー運転手」の関係から、「教習所の教官と練習生」の関係に変えているそうです。「タクシー運転手とお客さん」の関係だと、運転手(医者)が目的地につれていくだけです。これだと治療しても患者みずからうつ病にたちむかえず、再発します。一方、「教習所の教官と練習生」の関係だと、患者みずからとりくんでいく方法をおしえるので治療がすすみ、再発も予防できます。
うつ病は、几帳面・生真面目、責任感・正義感がつよい、完璧主義といった性格をもつ人が発症しやすいと報告されています。このような性格の人が日本社会にはとくに多いため、うつ病の発症も多いのです。またうつ病を発症する人は大人だけではありません。子供でも発症します。たとえば高度に管理されて試験勉強だけをさせられると過剰なストレスにみまわれて発症します。うつ病は、日本社会全体の問題としてとりくんでいかなければなりません。
まずは、過剰なストレスから誰もが解放されなければなりません。ストレスを発散し、リラックスできるように工夫します。いやしの空間をセットします。そして環境に柔軟に適応するようにします。
▼ 関連記事
低カロリー食、野菜から食べる、適度な運動 -「忍び寄る糖尿病」(Newton 2017.7号)-
がんの仕組みと治療法 -「がん治療 最前線」(Newton 2017.8号)-
生活習慣を改善する - 「脳卒中」(Newton 2017.9号)-
AED のつかい方をおぼえておく -「心臓病から身を守ろう!」(Newton 2017年10月号)-
ストレスから解放される -「うつ病」(Newton 2017.11号)-
現代人を悩ます五大疾病を予防する(Newton 連載のまとめ)
▼ 参考文献
『Newton』(2017年11月号)ニュートンプレス、2017年9月26日
厚生労働省が実施した2015年の調査によると、うつ病や統合失調症といった「精神疾患」の患者数は約392万人にものぼるといいます。
精神疾患の中で、特に現代社会に大きな影響を落としている病気が「うつ病」です。厚生省によると、うつ病や躁うつ病といった「気分障害」で治療を受けている患者数は、1984年に9万7000人だったものが、1999年には44万1000人、そして2008年には104万1000人と、24年間で約11倍にも増加しているといいます。
さらに、うつ病ではあるものの実際には医療機関を受診していない人がこの数倍はいると推測されており、10〜15人に1人は生涯のうち、一度はうつ病を発症すると考えられています。

本論では、「全身を駆け巡るストレスホルモンがうつ病の原因」であると説明しています。
- わたしたちがストレスを感じると、体の自律機能やホルモン量をコントロールする脳の領域「視床下部」から、「CRH(コルチコトロピン遊離促進ホルモン)」が分泌されます。
- この情報は、「下垂体」を介し、血液にのって、腎臓のうえに位置する「副腎皮質」へつたえられます。
- すると副腎皮質は、「コルチゾール」とよばれるホルモンを分泌します。これが「ストレスホルモン」です。
- コルチゾールは、血糖値や血圧をあげたり、免疫反応をしずめ、炎症をおさえたりします。これらの反応は、体がストレスにたちむかうために必要な変化です。
- しかしつよいストレスを長期間うけつづけると、コルチゾールがつねに分泌されつづけるため、体の緊張状態がつづきます。
- 過剰なコルチゾールの分泌がつづくと、脳のニューロン(神経細胞)がダメージをうけます。記憶力が低下するなどします。
- またストレスは、恐怖や不安を感じる「扁桃体」のはたらきを高めるため、怒りや悲しみ、不安、不甲斐なさといったネガティブな感情が頻繁に生じるようになります。
- こうしてうつ病になります。
- うつ病になると、興味や快感・学習などに重要なはたらきをもつ神経伝達物質「ドーパミン」や「セロトニン」などの機能が低下することで、さらに気分がおちこみます。
うつ病の治療としては、神経伝達をもとの状態に回復させる「抗うつ薬」の服用があります。
また「マインドフルネス」などをとりいれた「認知行動療法」もおこなわれています。認知行動療法では、医者と患者の関係を、「お客さんとタクシー運転手」の関係から、「教習所の教官と練習生」の関係に変えているそうです。「タクシー運転手とお客さん」の関係だと、運転手(医者)が目的地につれていくだけです。これだと治療しても患者みずからうつ病にたちむかえず、再発します。一方、「教習所の教官と練習生」の関係だと、患者みずからとりくんでいく方法をおしえるので治療がすすみ、再発も予防できます。
うつ病は、几帳面・生真面目、責任感・正義感がつよい、完璧主義といった性格をもつ人が発症しやすいと報告されています。このような性格の人が日本社会にはとくに多いため、うつ病の発症も多いのです。またうつ病を発症する人は大人だけではありません。子供でも発症します。たとえば高度に管理されて試験勉強だけをさせられると過剰なストレスにみまわれて発症します。うつ病は、日本社会全体の問題としてとりくんでいかなければなりません。
まずは、過剰なストレスから誰もが解放されなければなりません。ストレスを発散し、リラックスできるように工夫します。いやしの空間をセットします。そして環境に柔軟に適応するようにします。
▼ 関連記事
低カロリー食、野菜から食べる、適度な運動 -「忍び寄る糖尿病」(Newton 2017.7号)-
がんの仕組みと治療法 -「がん治療 最前線」(Newton 2017.8号)-
生活習慣を改善する - 「脳卒中」(Newton 2017.9号)-
AED のつかい方をおぼえておく -「心臓病から身を守ろう!」(Newton 2017年10月号)-
ストレスから解放される -「うつ病」(Newton 2017.11号)-
現代人を悩ます五大疾病を予防する(Newton 連載のまとめ)
▼ 参考文献
『Newton』(2017年11月号)ニュートンプレス、2017年9月26日