数学は、人間の営みのかなりふかいところに根ざしています。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』(2017年10月号)の連載「深遠なる数の世界」(最終回)では、「世界一美しいオイラーの等式」を解説しています。




オイラーは、「指数関数と三角関数」そして「e i π」という、一見するとまったく関係のなさそうな関数や式の間に、かくれた関係性があることを明らかにしました。この不思議で神秘的ともいえる関係性に、科学者や数学者の多くが、"美しさ" を感じているのです。


オイラーの等式は「世界一美しい式」と賞賛され、オイラーの公式は「人類の至宝」と表現されます。




ガリレオ=ガリレイは、「自然の書物は数学の言葉で書かれている」といいました。物理学者は自然を数学で記述します。物理学者がおこなう情報処理は数学を前提としています。数学の世界と物理学の世界のどちらが大きいのかということを問題にした場合、数学の方が大きいということになります。

数学のおもしろいところは、純粋に、人間の意識(心)のなかだけですすめられるところにあります。数学者は、観測や実験を必要としません。したがって数学を前提とする物理学とその成果は、人間の意識(心)のなかにあるとみることもできるのです。

物理学がなくても数学は成立しますが、数学なくして科学技術あるいは近代文明は成立しません。数学は、人間の営みのかなりふかいところに根ざしているといってもよいでしょう。

このような観点から数学をとらえなおし、またまなびなおしてみるのもおもしろいとおもいます。


▼ 参考文献
『Newton』(2017年10月号)ニュートンプレス、2017年10月7日