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ダイダラボッチ(節足動物門軟甲綱アリセラ科)
(平行法で立体視ができます)
超深海という極限の環境に適応して生きている生物がいます。地球の生態系の多様性におどろかされます。
国立科学博物館で、特別展「深海 2017 ~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」が開催されています(注1)。深海の最新の調査・研究成果を展示・解説しています。

ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
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写真の標本はいずれも、東京海洋大学の神鷹丸(しんようまる)が、マリアナ海溝チャレンジャー海淵の世界最深部でおこなった調査により、水深 7000m から採取されたものです。

ダイダラボッチは、食べたものを体内で脂肪にかえて大量にたくわえることで海底の過酷な環境をいきぬいています。体長 30cm 以上の巨大な固体も確認されています。



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マリアナスネイルフィッシュ(硬骨魚綱クサウオ科)
白いオタマジャクシのような形をした体が特徴的です。ゆったりとおよぎまわりながら餌にむらがるヨコエビ類をすいこんでいる様子が撮影されています。



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カイコウオオソコエビ
(節足動物門軟甲綱フトヒゲソコエビ科)
動物の死骸などをおもにたべますが、特別な消化酵素をもっており、海底にしずんだ木などもたべるとかんがえられています。

体のなかのタンパク質が高い水圧によってこわれてしまうので、魚がすめるふかさの限界は 8400mぐらいとかんがえられています。それよりもふかい場所には、カイコウオオソコエビなどの魚以外の生物しか発見されていません。

超深海では、海溝斜面が地震などで崩壊すると、海溝水塊中に有機物が放出され、これが浮遊する微生物をささえ、微生物が海溝底にふりそそぐことで海溝底の生態系がなりたっているとかんがえられています。しかし超高圧の暗黒の世界で、どのようにして餌を認知しているのか。不思議です。

超深海底は地球上最後のフロンティアです。ここの様子が徐々にわかってきたことは近年の海洋学の大きな成果です。このような極限の環境に適応して生きている生物がいるということには本当におどろかされました。

極限あるいは極端を知ることは地球の多様性と全体像をつかむためにも役立つでしょう。


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▼ 注1
特別展「深海 2017 ~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」(国立科学博物館)
公式ホームページ