さまざまな海洋生物が水深ごとに棲み分けて生息しています。棲み分けに注目することによって構造的・空間的に複雑な情報を整理して認識できます。
国立科学博物館で、特別展「深海 2017 ~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」が開催されています(注1)。深海の最新の調査・研究成果を展示・解説しています。
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
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海洋生物学では、植物が光合成できないほど光がよわくなる水深約 200 mよりもふかいとこころを「深海」としています。
展示会場の ZONE 2 にはいると、「水深ごとの深海生物図鑑」として、海洋生物の貴重な標本を深度ごとにわけて紹介しています。近年の調査・研究により、海洋生物は実に多様であり、また想像を絶する生物がいることもあきらかになってきました。しかしそれらは、ごちゃごちゃになって生息しているのではなく、水深ごとに棲み分けて生きています。この棲み分けが、海の生物学的構造をつくっており、一見複雑な海の多様性を、構造的・空間的に整理して認識することを可能にします。この棲み分けに気がつくことはとても重要なことです。そうでないと、あまりにも情報が多すぎて、「何だかよくわからなかった」「頭がつかれた」ということになります。
図1の模式図をみればあきらかなように、海のなかの垂直構造に注目するのが海を理解するためのポイントであり、また近年の海洋学の進歩によってそれが可能になってきたのです。
水深 200〜1000m(上部漸深海帯):太陽光線は、水深がますほど消失していきますが、わずかにあかるさがのこっているので「トワイライトゾーン」ともよばれます。よわい光を感知するために巨大な眼をもった魚がいます。またハマダイなど、赤色の魚が多いです。これは、この水深帯では赤色は吸収されるので、赤色の魚は海中では黒色にみえ目立たないためです。
水深 1000〜3000m(下部漸深海帯):大陸棚から深海底へとつづく斜面である大陸斜面の下層部分にあたり、太陽光線はきわめてわずかとなり、水温も大きく低下し、表層からの有機物の供給もとぼしくなり、生物の種数や数は徐々に減少していきます。
水深 3000〜6000m(深海帯):太陽の光はまったくとどかず、眼をもたない種が多くなります。体色も白っぽいものが多いです。水温は約 1.5℃ で均一、たかい水圧にわずかな栄養といったきびしい環境により、種数・量ともにとぼしくなります。
水深 6000m 以深(超深海帯):海溝の内部であり、すさまじい水圧など、地球上における極限の環境のひとつです。水深1万mをこえる海底にも生物がいることが近年あきらかになりました。
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▼ 注1
特別展「深海 2017 ~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」(国立科学博物館)
公式ホームページ
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
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水深 200〜1000m の海洋生物の標本
水深 1000〜3000m の海洋生物の標本
水深 3000〜6000m の海洋生物の標本
水深 6000m 以深(超深海)の海洋生物の標本
海洋生物学では、植物が光合成できないほど光がよわくなる水深約 200 mよりもふかいとこころを「深海」としています。
展示会場の ZONE 2 にはいると、「水深ごとの深海生物図鑑」として、海洋生物の貴重な標本を深度ごとにわけて紹介しています。近年の調査・研究により、海洋生物は実に多様であり、また想像を絶する生物がいることもあきらかになってきました。しかしそれらは、ごちゃごちゃになって生息しているのではなく、水深ごとに棲み分けて生きています。この棲み分けが、海の生物学的構造をつくっており、一見複雑な海の多様性を、構造的・空間的に整理して認識することを可能にします。この棲み分けに気がつくことはとても重要なことです。そうでないと、あまりにも情報が多すぎて、「何だかよくわからなかった」「頭がつかれた」ということになります。
図1 海の深度による棲み分けの模式図
図1の模式図をみればあきらかなように、海のなかの垂直構造に注目するのが海を理解するためのポイントであり、また近年の海洋学の進歩によってそれが可能になってきたのです。
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水深 200〜1000m(上部漸深海帯):太陽光線は、水深がますほど消失していきますが、わずかにあかるさがのこっているので「トワイライトゾーン」ともよばれます。よわい光を感知するために巨大な眼をもった魚がいます。またハマダイなど、赤色の魚が多いです。これは、この水深帯では赤色は吸収されるので、赤色の魚は海中では黒色にみえ目立たないためです。
水深 1000〜3000m(下部漸深海帯):大陸棚から深海底へとつづく斜面である大陸斜面の下層部分にあたり、太陽光線はきわめてわずかとなり、水温も大きく低下し、表層からの有機物の供給もとぼしくなり、生物の種数や数は徐々に減少していきます。
水深 3000〜6000m(深海帯):太陽の光はまったくとどかず、眼をもたない種が多くなります。体色も白っぽいものが多いです。水温は約 1.5℃ で均一、たかい水圧にわずかな栄養といったきびしい環境により、種数・量ともにとぼしくなります。
水深 6000m 以深(超深海帯):海溝の内部であり、すさまじい水圧など、地球上における極限の環境のひとつです。水深1万mをこえる海底にも生物がいることが近年あきらかになりました。
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スケールの大きな世界 - 特別展「深海 2017」(国立科学博物館)(3)-
生命の起源をさぐる - 特別展「深海 2017」(国立科学博物館)(4)-
特別展「深海 2017」(国立科学博物館)(まとめ)
▼ 注1
特別展「深海 2017 ~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」(国立科学博物館)
公式ホームページ