写真1 江戸時代の姫路の模型(交差法で立体視ができます)

江戸時代の姫路には、〈城下町-耕作地-自然環境〉システムがありました。人間と自然が調和する仕組みがありました。
写真1は、江戸時代の姫路の様子をしめした模型です。天守内に展示されていました。姫路は、姫路藩の中心地として、また江戸幕府の西国支配の拠点として拡充・整備されました。

姫路城の周囲には城下町がつくられ、城下町のまわりには耕作地(田畑)が整備され、さらにその外側には自然環境がひろがっていました。自然環境とは森林や山や海のことです。この空間的な構造をモデル化すると図1のようになります。

170907 城下町
図1 かつての姫路の空間的モデル


これは姫路のモデルですが、実際には江戸もふくめ、日本全国どこの城下町にいっても同様なモデルがなりたっていました。江戸時代には、このような城下町のモデルが確立していたといってよいでしょう。

こまかい説明ははぶきますが、このモデルのもとでは人間社会と自然環境は調和していました。たとえばリサイクルの仕組みができあがっていました。人間社会は自然環境から恩恵をうけ(インプット)、自然環境に作用をあたえていました(アウトプット)。人間はプロセシングをする存在でした。

これは大変すぐれたシステムであり、環境破壊をくりかえす現代人があらためてまなばなければならない仕組みです。今後の環境保全のためのヒントがふくまれています。

またこのモデルは、日本の里山や、世界各地にかつて存在した都市国家のモデルとも共通します。城下町・里山・都市国家に、このような同心円モデルの観点から注目することには大きな意義があるとおもっています。


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