170823 ニックネーム
図1 体験ファイルのモデル
「(1)引いて見よ!  (2)寄って見よ!  (3)名を付けよ!」という三段階方式で体験ファイルをつくるようにします。想起するときにはイメージを鮮明にえがくようにします。
東京国立博物館のミュージアムシアターで上演されている『DOGU 縄文図鑑でめぐる旅』で、考古展示のたのしみ方として、「(1)引いて見よ!  (2)寄って見よ!  (3)名を付けよ!」という三段階方式の提案がありました(注1)。

正式名称がわかってもわからなくてもその特徴をとらえてニックネームをつけてみるというのがおもしろいところです。わたしは縄文土偶をみて「宇宙人」と名づけてみました。

このようなことをするとそのときの体験がまとまり、記憶にもよくのこります。記憶された体験はひとまとまりの情報であり、ひとまとまりの情報は情報用語でいうとファイルということになります。つまり、三段階方式により「体験ファイル」ができあがり、それが心のなかにファイルされるのです。

ファイルを球でデモデル化すると図1のようにあらわせます。名前(ニックネーム)は体験のひとまとまり(体験ファイル)の見出しあるいはインデックスになります。

このようなファイル形式を自覚していると、あとで、そのファイルをひっぱりだして(想起して)活用しやすくなります。コンピューターでも、よくできた見出しをつけて適切にまとめられたファイルをつくってファイルしておけば、そのファイルをあとで検索して容易に活用することができます。それとおなじことです。

たとえば名前を、メモ帳やカレンダーなどに記入しておけば、それを見るたびにそのときの体験を瞬時におもいだせます(想起できます)。想起するときには、イメージをしっかりえがくことが大切です。想起ができれば、いくつかのファイルをくみあわせて文章化する(アウトプットする)ということも可能になります。




わたしたちは学校で、言葉をつかた勉強をおもにくりかえしてきたので、名前は知っているけれども見たことはないという物がすくなくありません。言葉だけですんでしまう世界にながくいた場合、言葉をおぼえて内容もわかった気になってしまいます。

しかし実際には、現場での体験があってはじめて情報はいきてくるのであり、そのときのイメージをえがけるようになることがとくに重要です。名前をみて、イメージ(映像)をえがくと、内容が確認できたり、理解の程度が自覚できます。

何かを見たり体験したら名前をつけて体験ファイルをつくり、折にふれて、そのときのイメージを鮮明にえがく練習をするとよいでしょう。