ボウシテナガザル(平行法で立体視ができます)
熱帯林のなかなど、生命密度の高いところをあるくと元気になれます。
ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。よこはま動物園ズーラシア「アジアの熱帯林」ゾーンで撮影しました(注1)。
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ボウシテナガザル(Pileated Gibbon / Hylobates pileatus, 霊長目テナガザル科)は、タイ東部・カンボジアに分布、熱帯雨林の高い木の上で家族単位で生活しています。主食は果物や木の葉などです。雌は体が銀灰色で胸と頭が黒く、この種の名前の由来になっていますが、雄は四肢の先と顔のまわり以外は真っ黒で、雌とは全く違う色をしています。テナガザル類の中でもっとも絶滅が心配されているもののひとつです。



フランソワルトン
( Francois's Langur / Trachypithecus francoisi, 霊長目オナガザル科)
ベトナム北部から中国南部の一部に分布、4~6亜種または種に分類されますが、ここでは、ベトナム北部から中国南部にかけて生息している基亜種を飼育しています。河川に面した石灰山地や険しい岩山のある熱帯モンスーン林にすんでいて、1頭の雄に対し、複数の雌からなる群れを形成しています。生息数が少なく、絶滅が心配されています。



アカアシドゥクラングール
(Red-shanked Douc Langur / Pygathrix nemaeus, 霊長目オナガザル科)
ベトナム・ラオス・カンボジアに分布、熱帯雨林およびモンスーン林に10頭程の群れで生活しています。リーフイーター(葉喰いザル)の仲間で、木の葉や果物などを主食としています。ベトナム戦争のときに、米軍によって散布された枯葉剤によって生息地の大半を失って数が激減したといわれており、生存がきわめて危険な状態にあります。



シシオザル
(Lion-tailed Macaque / Macaca silenus, 霊長目オナガザル科)

インド南西部の西ガーツ山脈に分布、標高1、500m以上の常緑広樹林に4~30頭の群れをつくり、果物や木の実、新芽、昆虫類などを食べて生活しています。野生での生息数が非常に少なくなってしまったため、世界中の動物園で増殖への努力が続けられています。


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「アジアの熱帯林」ゾーンをあるいていると、実際に熱帯林をあるいているような体験ができます。熱帯地方には生命力がみなぎっています。まさに "熱い" 世界です。

生命力がみなぎっているのは、アジアにかぎらず熱帯林は生命密度が地球上でもっとも高いためであるとおもいます。熱帯林では、いろいろな生物に出会える機会がおおく、また生命のネットワークが複雑で強力であることを感じます。

このような生命密度が高いところをあるいているとおのずと元気になれます。さまざまな動植物からエネルギーをもらえるといった感じです。心身の健康を増進するために、動物園や植物園の熱帯ゾーンにすくなくとも一ヵ月に一度ぐらいは行くようにするとよいでしょう。植物園なら、熱帯を再現した温室がおすすめです。杉林などをあるいているよりもはるかに効果があります。


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▼ 注1
よこはま動物園ズーラシア
※ サルは、つねにうろちょろしていてじっとしていないので撮影がとてもむずかしかったです。また見物人がいると奥の方にひっこんでしまいます。檻の鉄格子も邪魔になります。サルの撮影については機会があれば再チャレンジしてみたいとおもいます。
※ アジアの野生のサルはどれも絶滅の危機に瀕しています。アジアの人口爆発と経済開発にともなう自然破壊のためです。動物園がおこなっている繁殖・保護活動がますます重要になってきます。

▼ 参考文献
村田浩一監修『よこはま動物園ズーラシアガイドブック 改訂版 II』公益財団法人横浜市緑の会発行、2015年4月22日(正門ちかくのショップで購入できます)