何かをあたえる、してあげるのではなく、技術・方法をおしえるようにします。
わたしはかつて、他者の現地調査報告書の原稿をよんで文章を修正する作業をやっていたことがあります。かなりの時間・労力がかかっていました。

しかしあるとき、文章のわるいところをなおしてあげているだけだと、その人の作文能力は決して向上しないということに気がつきました。やはり、みずから主体的に作文にとりくむことが大切です。そこで本多勝一さんの『日本語の作文技術』を紹介するようにしました。

むかしから、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」とよくいうではないですか。ある人に魚を一匹あたえれば、その人はそのとき食べておしまいですが、魚のとり方をおしえれば、その人は一生をとおして食っていけるという教えです。

たとえば開発途上国における援助事業にも問題があります。支援と称して物や金をあたえたり、建造物などをつくってあげるだけだと、そのときだけでおわってしまいますが、技術や方法をおしえれば、現地の人々がその後も持続的に仕事をしていくことができます。

技術や方法をバカにしている人がたまにいますが、初歩的段階では技術訓練が何事も必要です。音楽でも美術でも技術を身につけた先に芸術があるのです。技術も身につかない人には先はありません。基本的な技術は身につけなければなりません。

技術を習得しようとおもったら本人が努力するしかありません。あとは本人次第です。それでいいのです。


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