わかりやすい日本語を書くためには、「ハ」と「ガ」をただしくつかいわけなければなりません。
わかりやすい日本語を書く(アウトプットする)ことは日本人にとっての大きな課題です。日本語の作文でよく問題になるが「ハ」と「ガ」のつかいわけです。多くの日本人が今でも混乱しているのではないでしょうか。

そこで参考になるのが大野晋著『日本語練習帳』(岩波新書)の第 II 章「文法なんか嫌い - 役にたつのか -」です。ここでは、日本語の文法について概説するのではなく、「ハ」と「ガ」のつかい方だけをとりあげ、読者がみずから練習しながら「ハ」と「ガ」のつかい方を習得できるようになっています。




長い

このセンテンスでは、まず「象は」と問題が出される。ハの下には新しい情報が来るはずで、そこに「鼻が長い」が来る。「象が」のガは新しい情報のしるしです。


「象は鼻が長い」というセンテンスは、ひとつのセンテンスに2つ主語があるとみるのはあやまりです。たとえば「私は緑が好き」というのも同様です。日本語を読んだり書いたりするときには、「主語 - 述語」という英語式の見方から解放されることが必要です。

「ハ」と「ガ」の働きはつぎのとおりです。

ハの働き ① 問題(topic)を設定して下にその答えが来ると予約する
ハの働き ② 対比
ハの働き ③ 限度
ハの働き ④ 再問題化

ガの働き ① 名詞と名詞をくっつける
ガの働き ② 現象文をつくる


本書第 II 章では、10番から25番まで、16問の練習問題がでていますので実際にとりくんでみてください。 ひととおり練習がおわると「なんだこういうことだったのか」と、頭がすっきりしてかるくなることまちがいなしです。

たとえば練習 24 番ではつぎの問いがあります。
 
次のセンテンスのハとガについて答えてください。

 三四郎 (1)九州から山陽線に移って、段々京大阪へ近づいていくるうちに、女の色 (2)次第に白くなるので何時の間にか故郷を遠退く様な憐れを感じていた。(夏目漱石『三四郎』)

(1)のハは、どこと結んでいますか。
(2)のガは、どこまでをひとまとめにしていますか。


日本語のセンテンスの構造を理解するには「ハ」と「ガ」の働きをみきわめなければなりません。「ハ」と「ガ」のつかいわけができるようになることは日本語上達の重要なポイントです。

日本語を書くということは、内面から情報をアウトプットすることであり、これは練習するしかありません。知識を習得する(インプット)することとはちがい、とにかく実践です。本書のような実用的な「練習帳」がとても役立ちます。


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▼ 参考文献
大野晋著『日本語練習帳』(岩波新書)岩波書店、1999年1月20日