皮膚の状態をととのえて、皮膚感覚をとぎすまし、情報処理をすすめます。
大阪・千里にある国立民族学博物館にいくとインフォメーションゾーンがあり、そこには「世界をさわる、感じて広がる」というコーナーがあります(注1)。そこでは、さまざまな物をさわる体験をすることができ、なかでも《見ないでさわる》コーナーでは、さわることだけで形や細部の様子についてどこまで把握できるかに挑戦することができます。ささやかな施設ではありますが、皮膚感覚だけををつかって物を認知する貴重な訓練ができますので、国立民族学博物館にいったら是非やってみてください。

皮膚感覚によって認知するということは、皮膚から情報を内面にとりいれてその情報を処理するということです。皮膚も重要な感覚センサーであり、情報のインプット器官です。こまかくみると皮膚感覚には、温覚・冷覚・触覚・圧覚・痛覚などがあり、実に多様な情報をとりあつかっていて、環境を認識するために重要な役割をはたしています。

しかし皮膚感覚の重要性を本当に自覚している人はすくないのではないでしょうか。その理由は、人間は、視覚系の情報処理がもっとも強力なので見ただけで判断してしまったり、学校教育の影響もあって、言葉による情報インプットにかたよりすぎていることなどがあげられます。

しかし散歩や旅行にでかけたときのことをおもいだしてください。どれだけ大きな役割を皮膚感覚がはたしていることか。あるいは堅くしまっているのかとおもっていたが、さわってみたらブヨブヨしていたなんていう経験があるかもしれません。見た目だけで何事も判断してはいけません。

皮膚感覚をとぎすますためには、全身の皮膚の状態をととのえるようにしなければなりません。これは同時に、身体の健康増進にもなります。重要なことです。


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▼ 注1
国立科学博物館インフォメーション・ゾーン 

▼ 参考文献
広瀬浩二郎著『触る門には福来たる 座頭市流フィールドワーカーが行く!』岩波書店、2004年6月4日
※ 触ること、皮膚感覚の意義がわかります。