データ(事実)と仮説(解釈)を区別し、そして法則を知るようにします。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』などをみていると科学や医学の進歩がいちじるしいことがよくわかります。このような科学記事をよむときには、何がデータで、何が仮説かを区別してよむようにするとよいです。

データとは事実をしめすものであり、観察や観測や実験によってえられる客観的なものです(注)。これに対して仮説とは、データにもとづく解釈であり、そこには研究者の主観がはいっています。

  • データ:事実、客観的
  • 仮 説:解釈、主観的

科学書や月刊誌などをよみながら科学知識を量的に増やそうとすると時間がかかります。苦痛も生じます。初歩的・基本的な知識をもつことは必要ですが、知識を増やしつづけてもあまり意味がないでしょう。今日では情報の検索が簡単にできます。月刊誌なども、スキャニングして PDF で保存しておけば、必要なときに必要な記事をすぐによみなおすことができます。したがって知識を増やしつづけるよりも読み方のほうが重要です。

データと仮説を区別するように注意していると、これらの先にある自然の法則(原理)がわかってきます。仮説の核心、仮説の究極は法則の理解に通じます。法則とは現象の奥底にある根本です。法則そのものはみたりさわったりすることはできませんが、法則を仮定すると多様なデータを説明することができます。

逆に、データと仮説が区別できないと事実と解釈の区別ができず、事実と解釈と法則がごちゃごちゃになり、ますます混乱していきます。わかりにくい記述の原因のひとつがここにあります。データと仮説をきちんと区別して記述している記事は信用できますが、ごちゃごちゃになっていたり、ぼかして書いている記事は要注意です。

事実を知り、仮説を知り、法則(原理)を知ることが重要です。このような読み方は科学以外の分野でもつかえます。


▼ 注
データとは事実を記載したものであり、それは、定量化(数量化)されたものだけでなく、言葉や記号でしめされることも多いです。言葉で記載された情報であっても、事実を記載したものであればそれはデータとしてつかえます。厳密にいうと事実とデータはことなり、あくまでも事実は現場にあります。事実をしめし伝達するために、あるいは処理するためにしめされたものがデータです。