iPS 細胞の患者への移植手術がはじまっています。再生医療に無関心ではいられません。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』(2017.9号)の「再生医学の最前線」(第1回)では、「iPS細胞はどこまで来たか」と題して、iPS 細胞の臨床応用の現状について解説しています。iPS 細胞は、体中のどんな細胞にもなれる細胞です。 ヒト iPS 細胞の作製から10年がたち,患者への移植がはじまっています。




高橋博士らは、眼の病気「加齢黄斑変性」に対して、iPS細胞を使った治療法の研究を理化学研究所で進めています。その2例目となる移植手術が行われたのです。(中略)

1例目は、2014年9月に同じく高橋博士らが行った、移植の受け手と提供者が同じ「自家移植」でした。これは iPS 細胞では世界初の臨床研究で、安全性を検証するためのものでした。(中略)

ただし、その過程で約1億円の費用がかかったといわれています。


今回の2例目は、「他人の iPS 細胞」をつかった世界初の移植手術であり、コストや準備時間はすくなくなったそうです。

また iPS 細胞にともなう「がん化」の危険性にも対処しているそうです。

臨床応用は着実に進行中ですが、 iPS 細胞が、一般的な医療でつかわれるようになるまでにあと何年かかるのかについては説明がありませんでした。

再生医療がはじまると歴史的なあらたな段階に医療ははいります。今回の記事は、一般の人にとってはむずかしくてわかりにくいですが、再生医療について無関心ではいられません。何がおこっているのか、すこしでも理解する努力が必要でしょう。


▼ 参考文献
『Newton』(2017年9月号)、ニュートンプレス、2017年9月7日発行
※ 今号ではそのほかに、脳卒中や死とは何かについても解説しています。