南極大陸の氷河が急速にとけています。ちかい将来に海水面が上昇し、世界各地の沿岸部が水没します。今からそなえなければなりません。
『ナショナルジオグラフィック 2017.7号』の特別レポート「南極の氷と海」(パート1)では、「崩壊する氷の大陸」と題して、南極大陸の氷解と海水面上昇について報告しています。




西南極氷床は、厚さは最高で3000メートルを超え、最も深い地点は海面下1500メートル以上にもなる。氷が海面下にも分布しているため、海水温上昇の影響を受けやすい。棚氷が崩壊し、支えを失った氷河の流れが加速して、西南極の氷がすべて海に流出すれば、世界の海水面は平均3.3メートル上昇し、世界各地で沿岸部が水没することになる。


西南極氷床の崩壊はもはやさけられないと予測されています。一方、東南極でも、棚氷(大陸氷河が海に張り出して氷板となり、海面に浮いているもの)の底面が解けはじめています。広大な氷原に亀裂や割れ目が目立ちはじめました。白い大地が急激に崩壊しています。

南極大陸では、ふりつもった雪がながい年月をかけて厚さ3キロ以上もの氷床をつくりました。しかし地球温暖化がすすみ、沿岸部の氷河から氷が海に流出するペースが加速しています。これにより海水面が上昇します。世界各地の沿岸部の水没に今からそなえなければなりません。

たとえば南極半島のルメール海峡には海水にうかんだ氷山が目立ちます。その優美な曲線は、氷河から海にながれでたあと、急速に解けたことを物語っています。この一帯では、冬の気温が1950年とくらべて5℃も上昇しました。

また棚氷の融解については、直撃している熱のほとんどは、南極大陸周辺の風と海流の影響であるとかんがえられています。人間がくいとめることは決してできません。

これらのことは、本誌に掲載されている写真と地図と図解をみれば一目瞭然です。グラフィックに直観的に理解できます。文章を読んでいるよりもはやいです。直観的に理解してから、文章を読んで確認するという手順がよいでしょう。


▼ 参考文献
『ナショナルジオグラフィック 2017.7号』日経ナショナル ジオグラフィック社、2017年6月30日