今日の情報化の時代では、情報処理（インプット→プロセシング→アウトプット）をする存在として人間をとらえなおすことはとても重要なことです。学校教育などでももっと自覚されるべき課題です。

情報処理の観点にたって人々をみなおしてみると、インプットに対してアウトプットがとぼしい人が多いことがわかります。

たとえば非常に多くの人々がテレビを毎日みているとおもいます。テレビをみることは、情報を内面にインプットすることです。そのほか、聞いたり読んだり味わったりすることもインプットです。インプットをしていない人はひとりもいません。

しかしアウトプットの方はどうでしょうか。テレビ番組をみおわってから気がついたことやおもったことを書きだしているでしょうか。書きださなくても会話をする人は、声によるアウトプットをしていることになりますが、声は、録音しないかぎりのこらず、あとでみなおして点検・修正することができません。記録にもなりません。やはり書きだした方がよいでしょう。あるいは本を読んだり話をきいたりしてから書きだしているでしょうか。

アウトプットがとぼしいとプロセシングが停滞します。プロセシングが停滞するときちんとした情報のインプットできません。つまり情報処理がすすみません。

情報処理をすすめるためには、アウトプットをとにかくはじめることです。たとえばテレビ番組をみたり本を読んだり どこかへ出かけたりして情報を内面にインプットしたら、ひと晩ねてプロセシングをすすめ、起床したら、不完全でもよいので書きだしをしてみます。

アウトプットをすると心のなかで情報が流れはじめます。情報が流れだすとインプットとプロセシングもすすみます。こうして、アウトプットの重要性が自覚できるとインプットとプロセシングの重要性もわかり、それらの能力がおのずと高まります。

そもそも人生とはこのような流れです。生きるとはこのような流れがおこっている状態であり、死ぬとは流れがなくなることです（注）。


▼ 注
人間とはかぎらすあらゆる生物が生きる基本は代謝にあります。代謝とは、いいかえれば〈インプット→プロセシング→アウトプット〉という流れのことです。