黒い肌の人々のなかで、白い肌の人々が差別されています。相違よりも相似にまず注目するようにすべきです。
『ナショナルジオグラフィック 2017.6号』では、「白い肌に生まれて」と題して先天性白皮症(アルビノ)の人々の苦悩について解説しています。
エマは先天性白皮症(アルビノまたはアルビニズム)です。黒い肌の両親からうけついだ遺伝子の劣性形質が発現したのです。そのため肌は白く、髪はオレンジ色で視力がよわいのです。
サハラ以南のアフリカでは、アルビノの人々は ながきにわたっておそれられ、家族からもさげすまれてきました。そして今では、身の危険にさらされています。その体を材料にした薬や魔除けが富と名声をもたらすという呪術医がいるのです。
タンザニアでは、約1400人に1人がアルビノで、約17人に1人が劣性遺伝子を保有しているそうです。
白い肌の赤ちゃんが生まれてくるとびっくりして、「これは人間ではない」といって湖にすててしまう親もいるそうです。
黒い肌の人々のなかで差別される白い肌の人々、わたしたち日本人の常識とは逆ですが、肌の色の違いによって差別される人々はアフリカにもいるのです。
ペットの猫だったら、黒や白や茶や三毛が生まれてもおどろかないのに、人間となるとそうはいきません。肌の色の違いは種の違い、人種の違いであると誤解して差別をしたり、偏見をもちます。
肌の色が違っても、地球上のすべての人間は同一種、ホモ・サピエンスであることがわかっていません。ある人類学者によると、「アフリカ人とおなじだなんて、やだなぁ」といった日本人がいたそうですが、みなおなじホモ・サピエンスなのです。
現代人あるいは文明人は違いに注目しすぎています。相違よりも相似にまず注目した方がよいでしょう。類似点に気がつくことが重要です。相似に気がつけば相違の意味もおのずとわかってきます。相似をさがすことがどんなにたのしいことか。相似を優先させると情報処理もすすみます。類比法の実践がもとめられます(注2)。
▼ 注1
メラニンは、ヒトをふくむすべての哺乳類の皮膚内にある主要な色素です。太陽光をあびると、皮膚細胞の核をおおって、紫外線によるダメージをやわらげる役割をしています。
▼ 注2
類比法の実践は推理法につながり、階層構造さらにはフラクタルの理解に発展します。
▼ 参考文献
『ナショナル ジオグラフィック 2017.6号』日経ナショナル ジオグラフィック社、2017年5月30日
少年の名前はエマニュエル・フェスト、通称エマ。私立の全寮制の学校に通う15歳だ。6歳のときに、なたを持った4人の男に襲われ、左腕と右手の指、顎の一部、前歯4本を失った。
エマは先天性白皮症(アルビノまたはアルビニズム)です。黒い肌の両親からうけついだ遺伝子の劣性形質が発現したのです。そのため肌は白く、髪はオレンジ色で視力がよわいのです。
サハラ以南のアフリカでは、アルビノの人々は ながきにわたっておそれられ、家族からもさげすまれてきました。そして今では、身の危険にさらされています。その体を材料にした薬や魔除けが富と名声をもたらすという呪術医がいるのです。
ヒトの皮膚、毛髪、目の色は、メラニン(注1)の量と種類に関わる複数の遺伝子によって決まる。だが、親から遺伝子変異を受け継ぐと、この働きが阻害され、メラニンがまったく、あるいはほとんど生成されなくなり、重度の日焼け、皮膚潰瘍、皮膚がんにかかるリスクが高くなる。メラニンがごく少量しか生成されない「OCA2」というタイプの人が最も多い。
タンザニアでは、約1400人に1人がアルビノで、約17人に1人が劣性遺伝子を保有しているそうです。
白い肌の赤ちゃんが生まれてくるとびっくりして、「これは人間ではない」といって湖にすててしまう親もいるそうです。
黒い肌の人々のなかで差別される白い肌の人々、わたしたち日本人の常識とは逆ですが、肌の色の違いによって差別される人々はアフリカにもいるのです。
ペットの猫だったら、黒や白や茶や三毛が生まれてもおどろかないのに、人間となるとそうはいきません。肌の色の違いは種の違い、人種の違いであると誤解して差別をしたり、偏見をもちます。
肌の色が違っても、地球上のすべての人間は同一種、ホモ・サピエンスであることがわかっていません。ある人類学者によると、「アフリカ人とおなじだなんて、やだなぁ」といった日本人がいたそうですが、みなおなじホモ・サピエンスなのです。
現代人あるいは文明人は違いに注目しすぎています。相違よりも相似にまず注目した方がよいでしょう。類似点に気がつくことが重要です。相似に気がつけば相違の意味もおのずとわかってきます。相似をさがすことがどんなにたのしいことか。相似を優先させると情報処理もすすみます。類比法の実践がもとめられます(注2)。
▼ 注1
メラニンは、ヒトをふくむすべての哺乳類の皮膚内にある主要な色素です。太陽光をあびると、皮膚細胞の核をおおって、紫外線によるダメージをやわらげる役割をしています。
▼ 注2
類比法の実践は推理法につながり、階層構造さらにはフラクタルの理解に発展します。
▼ 参考文献
『ナショナル ジオグラフィック 2017.6号』日経ナショナル ジオグラフィック社、2017年5月30日