地球温暖化・観光客・外来種によって、ガラパゴスの生物が適応か絶滅かの岐路にたたされています。
『ナショナルジオグラフィック 2017.6号』では、「適応か、絶滅か ガラパゴスの生物たちの運命」と題して、ガラパゴスの環境問題について紹介しています。ガラパゴスは "進化論のふるさと" としてよく知られていますが、近年、環境破壊がすすんでいます。




2016年、過去20年間で最大規模のエルニーニョ現象が発生し、ウィットマンが定期的に調べている海域の水温は最高で31℃に達した(ガラパゴス全体で見た場合、海水温は長期的な平均より2℃以上高かった)。(中略)ビーグル島沖で見つかった白くなったサンゴが爆発的な白化現象の前触れにすぎず、この先、周辺の生態系全体を劇的な変化が襲うのではないか。


ガラパゴスの島々ほど、エルニーニョ現象やラニーニャ現象現象の影響をうけている場所はほかにはありません。これらの現象がおきると、気温や降水量や潮流が変化し、陸でも海でも生物の数がはげしく変動します。

くわえて、年間約 22万人もの観光客が殺到し(ガラパゴスの人口は約2万5000人)、環境を悪化させています。

また外来種もふえています。ヤギやブタ・ネコなどがもちこまれ、げっ歯類(ネズミなど)や昆虫や雑草など、意図せずにはいりこんだ生物も多いです。現在、800種ちかい植物をふくむ 1430種をこす外来種がみられ、なかでも侵略的外来種は最大の脅威です。

このように地球温暖化・観光客・外来種によって、ガラパゴスの生物たちは環境の変化に適応できるのか、それとも絶滅するのか、岐路ににたたされているのです。

種の多様性がうしなわれると食物連鎖も変化し、脅威に対する生態系の回復力もよわまることが知られています。

ガラパゴスの生態系が独特で多様性に富んでいる理由のひとつは、水温のことなる4つの海流が周囲をながれていることです。深海をながれるつめたい赤道海流はガラパゴスの島々にぶつかって上昇し、植物プランクトンのはっせいをうながす栄養をカイメンまではこびます。そして植物プランクトンが海中の食物網をゆたかにするのです。

進化論の "ふるさと" は進化と同時に絶滅の実例をしめすことになりかねません。


▼ 参考文献
『ナショナル ジオグラフィック 2017.6号』日経ナショナル ジオグラフィック社、2017年5月30日