国立新美術館の企画展「イメージの力 -国立民族学博物館コレクションにさぐる-」を先日みました。
この企画展は、「世界の本質や構造にかたちや色を与えて視覚化することは、人間に与えられた根源的な資質のひとつ」ととらえ、「イメージの活力を体感することによって、人類の文化に普遍的な『イメージの力』を堪能」するという企画でした。
全体は以下の4章から構成されていました。
第1章 みえないもののイメージ
「1-1 ひとをかたどる、神がみをかたどる」では、自らの身体に似せて神がみをイメージしていました。
「1-2 時間をかたどる」では、物語をイメージにしていました。
第2章 イメージの力学
「2-1 光の力、色の力」では、すでにある物に、あらたな光と色をあたえイメージを強化していました。
「2-2 高みとつながる」では、地上と上方世界とをつなぐことをイメージしていました。
第3章 イメージとたわむれる
よろこびの感情をイメージにしていました。
第4章 イメージの翻訳
「4-1 ハイブリッドな造形」では、外の世界のイメージをこちらにとりこむことであらたなイメージをえがいていました。
「4-2 消費されるイメージ」では、ブリキやアルミ缶を素材にしてあらたなイメージをつくっていました。
このように、何を素材にしてどのようなイメージをえがいたか、また、どのようにしてイメージをふくらませたのかの具体例を見ることができました。
わたしたちが何かをイメージし想像するとき、まったくのゼロからスタートすることはなく、外界からえられた素材を元にして、それをふくらませたり変化させたり発展させたりしてイメージしています。
したがって、イメージには素材がまず必要です。それは過去の体験から(記憶から)もってくることもできますし、現在の感覚体験を素材とすることもできます。
そしてわたしたちは、心のなかにインプットされた情報(素材)をそのままアウトプットするのではなく、イメージ能力をつかって、情報を編集・加工・増幅させて、つまり情報処理をしてアウトプットします。イメージ能力(心象力)は、情報処理をすすめるための基本的な能力であるわけです。
今回の企画展などを利用して、まず、心のなかに素材をインプットすることを心がけ、次に、素材を元にしてイメージをふくらませる練習をするとよいでしょう。